8日、東京に4度目となる緊急事態宣言が発令されることが決まりました。期間は7月12日から8月22日までで、東京五輪(7月23日~8月8日)は、緊急事態宣言下で行われることになりました。同日には東京五輪の観客の扱いについても関係者で協議が行われ、一都三県の会場では無観客試合となることが決まりました。

昨年来、安倍前首相と菅首相は、東京五輪を開催する意義について「人類がコロナに打ち勝った証し」にすると述べてきましたが、「コロナに打ち勝つ」というより「コロナに打ちひしがれた」大会になってしまいそうです。

また、開催地の東京では多くの時間、労力、税金を費やしてきたにもかかわらず直接競技を見られないのなら、何のため、誰のための「東京」五輪なのかと言わざるを得ません。

さらに、東京五輪を開催することで緊急事態宣言の効果が乏しくなる可能性もあります。9日、感染症の専門家としてテレビなどで説得力のあるコメントをされている昭和大学医学部の二木芳人先生からお話を伺う機会がありました。

現在の世界の感染状況は、インド由来の「デルタ株」の広まりでイギリスなどの欧州やアフリカ、これまで感染者が少なかったアジアで急増しているほか、南米ではペルー由来の「ラムダ株」という新たな変異株が感染を広げつつあります。それゆえ、来日する外国人への水際対策が極めて重要だが、現在の体制では不十分であるいうご見解でした。

五輪で来日する外国人から感染が広がるだけでなく、国内の人々の間で感染が広がる可能性も高くなると思います。世界各国から多数のアスリートが集まり、交わり、躍動する「平和の祭典」である東京五輪が「安全・安心」だというのであれば、お盆の帰省や地域の運動会やお祭りなどの行事も「安全・安心」にできないはずがないと思うのは当然です。

営業継続の危機に瀕している飲食店なども、緊急事態宣言を守りたくても守れない状況になっています。このままでは東京五輪も緊急事態宣言も共倒れになりかねません。解決策としては、東京五輪を中止するか、それが無理なら緊急事態宣言で影響を受ける全国の事業者に十分な補償をして協力してもらうべきです。

コロナ禍においても業種によっては多額の利益を出す企業もあり、前年度の税収は想定より6兆円近くも増えました。こうした財源を有効活用する補正予算を組むために、臨時国会を早急に開くべきです。