19日、今国会の最重要法案の一つである「子ども・子育て支援法改正案」が衆議院で可決されました。この法案は、少子化対策の財源として1兆円を集めるため、私たちが毎月支払う医療保険料に上乗せして「子ども・子育て支援金」を徴収する内容を含んでいます。

岸田首相は当初、一人当たり月500円弱の負担で済むと説明していましたが、立憲民主党の追及により、①組合健保の場合は、年収600万円の被保険者で月1000円の負担、②国保の場合は、年収400万円の被保険者で月550円の負担、③後期高齢者の場合は、年収250万円の被保険者で月550円の負担になることが判明しました。

岸田首相は「歳出改革と賃上げを行うので実質的な負担はない」との主張もしましたが、歳出改革と賃上げの効果が負担を上回る保証はありません。そして、仮に効果があるとしても、国民の支払がなくなるわけではありません。岸田首相の説明は、粗雑で不誠実です。

当然ながら、全野党が「子ども・子育て支援金」は導入すべきではないとして、法案に反対しました。しかし、少子化対策に必要な1兆円の財源を調達する代替案を具体的に示せたのは立憲民主党だけです。私たちは、異次元の金融緩和で日銀が大量に保有することになった「ETF(株式投資信託)」が受け取る、毎年1兆円以上の「分配金」に着目しました。

「子ども・子育て支援金」の導入を止め、政府の特別会計が、日銀の保有するETFを借金に頼らない方法で買い取って、そこに入ってくる分配金を少子化対策に使えるようにする。そうした内容の修正法案を、私が中心となって作り、国会に提出しました。

政府与党は、国民に負担を求めずに1兆円を調達できるようにする立憲民主党の案を聞き、焦ったようです。16日の法案審議の際、岸田首相は与党議員の質問に答え、「ETFの分配金収入は、すでに活用されているから財源と考える余地はない」と言い放ちました。

しかし、国の予算は、ETFの分配金収入を見込んでいません。決算時に日銀から納付される分配金を、政府は借金減らしや、防衛財源に充てているのです。しかも、ETFの分配金は異次元金融緩和の副産物です。本来恩恵を受けるべきは、政府でなくマイナス金利で利息収入が激減した国民のはずです。政府の分配金使用は、「活用」ではなく「流用」です。

ここでも岸田首相は、不誠実な説明をしました。法案審議は参議院に移りますが、1兆円の国民負担を安易に求めようとする政府与党案より、立憲民主党の提案の方がはるかに優れていることを国民に理解して頂けるよう、引き続き丁寧かつ誠実に説明していきます。

 

 

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第213回通常国会の重要法案の解説「子ども・子育て支援法 立憲民主党の修正案について」 階猛衆院議員・ネクスト財務金融大臣