9日、立憲民主党を代表し、衆議院に「コロナ差別解消法案」を提出しました。この法案では、新型コロナに関連する差別を禁止する規定を置くとともに、差別をしてはならない相手として、感染した人(回復後も含む)や感染の疑いがある人、これらの方々と同じ立場・境遇にいる人はもちろん、ワクチンを接種していない人も含めています。

ワクチン接種が進む欧米では、日本人などが入国する際に「ワクチン証明」を要求するケースが増えています。政府も「ワクチン証明」の発行を検討中のようです。しかし、ワクチン接種の進み具合は地域によって差があります。そもそもワクチンを受けるかどうかも、各人が自分の健康状態などを考えて判断することです。仮に「ワクチン証明」が国内でも広く使われるようになると、ワクチン未接種の人への差別を招く危険があると考えました。

ちなみに、今年初めに改正された「新型インフルエンザ特措法」ではコロナ患者等への差別を防ぐための規定が設けられましたが、ワクチン未接種の人への差別を防ぐ規定は設けられていません。また、政府のコロナ対策に関する「基本的対処方針」には、ワクチン未接種の人が「不当な偏見・差別等」を受けないよう、「必要な取組」を実施するとの記載があります。しかし、何が「不当な偏見・差別等」に当たるか定かでなく、「必要な取組」の具体例としては「国民への普及啓発」を挙げるのみです。これでは実効性がありません。

政府の対応が後手に回っているため、私たちが法案を作って提出しました。この法案では、ワクチン未接種の人と、接種済みの人とで扱いを変えることが「不当な差別的取扱い」にあたるかどうかの指針を、政府が責任をもって定めることとしています。

その指針の案ですが、第一に、感染拡大リスクを考慮しての扱いは、基本的に許されるものとします。例えば、20人以上の宴会の予約をする場合、飲食店が「ワクチン証明」を要求することは感染拡大リスクを防ぐためと言えるので、問題ないと考えます。第二に、感染拡大リスクと無関係な扱いは、基本的に許されないものとします。例えば、飲食店が一人で来店するお客さんにも「ワクチン証明」を要求することは、感染拡大リスクを防ぐという面では行き過ぎであって、「不当な差別的取扱い」にあたると考えます。

こうした指針を守らせるため、各大臣は、所管する事業者に対し、必要な報告を求め、助言や指導ができることとします。また、インターネットを通じて差別の被害を受けた場合には、その情報を削除したり、発信者を突き止めたりするために、法務省の下にある法務局の協力を得られるようにします。ワクチンを接種してコロナを防ぐだけでなく、ワクチン接種の有無による差別も未然に防ぐ必要があります。国会で議論を深め、早期の成立を目指します。