160427 法務委員会 写真3 (1)現在、衆議院の法務委員会では「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」が審議されています。技能実習は、新興国等の外国人を日本で一時受け入れ、現場の職務を通じて必要な技能を身につけさせ、本国に戻って活躍してもらおうという仕組みです。最近は、少子高齢化による労働力不足のため、建設業、製造業など幅広い分野で外国人技能実習生が増えています。そこで、受け入れ期間を3年から5年に延長し、今後人手不足が深刻になる介護分野でも受け入れ可能とする制度拡充を安倍政権は目指しています。

 他方で、低賃金や過酷な職務によって職場から失踪する技能実習生が跡を絶ちません。そこで、技能実習生を受け入れる事業者等の監督を強化し、人権侵害行為に罰則を設け、実習生の相談窓口を整備しようともしています。いわばアクセルとブレーキの両方を強化するのが今回の法案です。しかし、27日の法務委員会での岩城法務大臣の答弁は、アクセルについては、たとえ介護の専門資格を身につけた志ある技能実習生でも、期限がくれば帰国させる点で中途半端でした。

また、ブレーキの点に関し、私は、人権を擁護する立場にある法務大臣の人権感覚を質しました。まず、甘利前大臣の口利き疑惑がある道路用地の不法占拠者への移転補償料支払いについて、憲法の財産権を手厚く保障し過ぎているのではないかと尋ねたところ、「所管ではないから答えられない」と答弁。一方、国連の特別報告者が、表現の自由を制約する特定秘密保護法の規定は削除すべきと指摘している点については、「事務方から説明した(ので削除の必要はない)」との答弁でした。

 岩城大臣は表現の自由の大切さを分かっていません。ある政権が人権を侵害する政策を実行している場合、これを正すには選挙で政権を変える必要があります。しかし財産権など通常の人権と違って、表現の自由が侵害されると、有権者に正確な情報が伝わりません。そうすると、政府の誤りが明らかにならず、選挙によって政権を変え、誤りを正すことが不可能になってしまいます。だからこそ、憲法は表現の自由を手厚く保障しているのです。

 にもかかわらず、不法占拠者の財産権については手厚く保障し、財産権より重要な表現の自由については特定秘密保護法で安易に制約するのは、人権を守るべき法務大臣の態度なのか。まさにアベコベです。安倍政権には憲法改正を訴える資格がありません。