160511 決算行政監視委員会 写真3東日本大震災から5年2か月となった11日、衆議院の決算行政監視委員会で質疑に立ちました。議題は予備費の使われ方です。「予備費」とは、国家予算の上では総額だけ計上されます。今年度はもともと3500億円と定められていました。しかし、熊本地震を受け、13日に政府から、予備費をさらに7000億円追加する補正予算が提出されました。ちなみに、東日本大震災の後も補正予算で予備費が追加されました。

予備費を具体的に何に使うかは、政府の責任で決めることができます。その使い方に対する国会の承諾は事後で足りることになっています。しかし、国会の関与なしに政府が勝手気ままに税金を使えるのでは、民主主義国家とは言えません。そこで、憲法は、「予見しがたい予算の不足に充てる」場合に限り、政府が予備費を使えることとしています。

にもかかわらず、安倍政権では、憲法の定めを無視した予備費の使い方をしているのではないか。私は、今回の質疑で2点問題を指摘しました。

第一に、平成27年2月、政府が民間企業との裁判に敗れ、約400億円が予備費から支払われた問題。この裁判は、防衛省が民間企業から20年間にわたって戦闘ヘリ63機を購入する発注を行う際、特別仕様の製造ラインを組むことなどで企業側にかかる初期経費も20年間で分割して払うという事実上の約束をしたにもかかわらず、支払いを途中で止めたため、訴えられたものです。本来、将来にわたって金銭を支払う約束があるならば、「国庫債務負担行為」という形で予算の中に示せたはずです。予備費を使うための「予見しがたい」という条件を満たしません。この点につき、防衛省は、初期経費は全額予算に計上するやり方に改めた旨答弁し、過去の予備費使用の過ちを認めました。

第二に、昨年12月、中小の小売業者などが新型レジを導入する場合の補助金の原資として約1000億円が予備費から支払われた問題。そもそも軽減税率は商品ごとに税率が区々になって混乱するほか、税収が減る割に貧しい人への恩恵は小さいという問題があります。そこで、私も今国会で反対してきましたが、国会で軽減税率導入の議論が始まる前の昨年12月に予備費を使うというのは、「予算の不足に充てる」という予備費使用の条件を満たしません。実際この1000億円は、ほぼ全額が政府関連団体の基金として眠っており、補助金として事業者に届いた金額は、いまだにゼロです。麻生財務大臣は、「当時の判断に問題ない」と答弁しましたが、その理由はまったく意味不明でした。

こうした予備費の悪用が、熊本地震の復旧・復興のための予備費でも行われないよう、しっかり監視していきたいと思います。