この度の熊本地震では、昼夜を問わず幾度となく大きな揺れに見舞われ、現地では多くの方々が大変な思いをされています。お亡くなりになった方々に対し、慎んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

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さて、衆議院の東日本大震災復興特別委員会では、18日に福島県の視察を行いました。私も野党の筆頭理事として参加し、福島第一原発の西方20キロ圏に一部含まれる内陸の川内村、南方30キロ圏にある沿岸の広野町を訪ねました。

川内村役場では、2年半ぶりにお会いした遠藤雄幸村長から村の現状と課題をお聞きしました。特別養護老人ホームや室内プールが完成し、生活環境は整ってきたものの、人手不足で工場等の生産は伸びていないとのこと。除染作業や復興工事の方が高収入のため、そちらに人手が流れているようです。

同じく内陸にある葛尾村の松本村長からもお話を伺いました。これまで全村避難が続いていましたが、6月に避難指示が解除されます。「村民はどれぐらい戻りそうか」尋ねたところ、「避難先で便利な生活に慣れるとなかなか戻ってこない」と苦笑していました。頼みの畜産業も、餌となる牧草や稲わらなどの汚染もあり、不安が大きいとのこと。

広野町は、比較的早く避難指示が解除され、昨年から「ふたば未来学園」が開校。海岸線に防災緑地が整備され、役場前には公設の商業施設「ひろのてらす」が最近オープンし、復興が進みつつありました。しかし、それでも人口は震災前の半分に過ぎません。遠藤智町長の「これからも支援をお願いしたい」という熱い訴えが心に響きました。

原発事故の影響で、福島県では今もなお、ふるさとを離れて避難生活を送っている方が約10万人おられます。これは今回の熊本地震の避難者(17日現在)とほぼ同じです。

報道は熊本に集中していますが、今回福島の復興に必死で取り組んでいる首長の皆さんの声を聴き、もう一つの緊急事態が続いていることを実感しました。緊急事態を早期に解消するのはもちろんですが、「緊急事態」も長期となりうる以上、「一時的」、「例外的」という理由で憲法に緊急事態条項を盛り込み、国民の権利を制限するのは危険です。