1460159573318衆議院ではTPP協定と関連法案の審議が始まりました。しかし、8日の特別委員会では、民進党の緒方林太郎代議士の質疑に石原大臣がまともに答えず審議がストップ。そのまま流会となりました。

問題となったのは、委員長を務める西川代議士による「TPPの真実」と題する著書です。近日発売予定でしたが、この日の朝になってインターネットの購入予約サイトが消されてしまいました。この本には、TPP交渉の内情が詳しく書かれていたようです。

TPP交渉については、平成25年3月の衆議院農林水産委員会の決議で「国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行」うとされています。これまで野党各党は、繰り返しTPP交渉に関する情報提供を求めてきました。しかし政府は、TPP交渉参加国との間で交わした「秘密保護に関する書簡」を盾に情報提供を拒み続け、最近やっと出した資料もすべて黒塗りというありさまでした。

にもかかわらず、政府が与党の西川代議士にだけそうした情報を伝えていたとしたら、著しく不公平です。そこで、緒方議員は何度も「政府から情報が漏れていないと責任もって言えるか」と尋ねましたが、石原大臣はまともに答えません。公平中立であるべき西川委員長も、自らに不都合な質問であるため、これを放置し続けました。これでは質疑を続けても意味がありません。民進党の委員がこぞって退席し、流会となりました。

そもそもなぜ、私たちは「TPP交渉に関する情報」にこだわるのでしょうか。安倍首相は「結果が全てだ」と言って交渉の情報を提供しませんが、結果であるTPP協定書だけ読んでも、その意味は正確に理解できません。なぜならTPP協定書の正文は、英語、スペイン語、フランス語で書かれており、国会で審議されているものは、これらを訳したものに過ぎないからです。

例えば、「公正衡平待遇」や「間接収用」といった、日本でなじみのない用語を正確に解釈するには、いかなる交渉の結果、こうした用語が使われるに至ったのかまで調べる必要があります。TPP協定のような国際条約の解釈の仕方を定めたウィーン条約でも、ある条約を解釈する際、その交渉に関する情報を役立てることができると定めているのです。

西川代議士の著書「TPPの真実」は、この日の審議からすると当分日の目を見ることはないでしょう。しかし、本来の意味での「TPPの真実」までもが闇に葬られることのないよう、民進党が先頭に立ち、国民の前に真実を明らかにしていきます。