160318 復興特別委員会121日、選抜高校野球大会で、釜石高校が香川の小豆島高校を2-1で破り、見事な初勝利を収めました。21世紀枠で選ばれたチーム同士の対戦で、実力も伯仲。どちらが勝ってもおかしくない緊迫した試合でした。甲子園の勝利の女神は悩みつつ、家族や家を失っても5年間くじけず頑張ってきた釜石の選手たちに、最後は微笑んでくれました。

これに先立つ18日の震災復興特別委員会でも、何人かの委員が釜石高校の甲子園出場に触れました。私からは、被災地の復興を妨げる二つの風、すなわち、震災の記憶の「風化」と、根拠のない「風評」が問題となっているが、これらを吹き飛ばすよう、「三つ目の風、釜石旋風を甲子園で起こして欲しい」と述べたところ、高木復興大臣からも「釜石高校の活躍、躍進が被災地の方々に大きな勇気や力を与える。釜石高校の活躍を心から祈念したい」とのエールがありました。

こうした明るい話題がある半面、復興庁の事務方のトップは、自ら「風化」、「風評」を招く問題発言を行っています。岡本事務次官は、11日に仙台で行われた経済団体のシンポジウムで、「ILCは『金食い虫』」という発言をしたのです。ILCとは、私を含め超党派の議員が誘致を進めている「国際リニアコライダー」の略です。北上山地に大規模な研究施設と研究都市を創り、宇宙の謎を解明し、技術革新を生み出し、人類の進歩に貢献しようという、被災地だけでなく日本にとっても重要な意義のあるプロジェクトです。

しかも、高木大臣の地元福井県にある「もんじゅ」とは違って、まだ工事にも着手しておらず、お金は一銭も使っていません。にもかかわらず「金食い虫」と称するのは、被災地にこれ以上お金を使うのは無駄だという意識の表れだと思います。岡本次官は、委員会の前に私など与野党の理事の前で発言の撤回と謝罪を行いましたが、このような緊張感の緩んだ次官の下にある復興庁では、「風化」が進み、「風評」が広がりかねません。今回政府が決めた「基本方針」には、「今後の復興・創生に当たっては、被災地外からも多くの方々が訪問し、移り住むような、魅力あふれる地域を創造する」ことで、「新しい東北」にするとの宣言があります。改めて復興大臣に対し、「前向きに取り組んで頂きたい」と決意を問うと、「ぜひ誘致できるように復興庁としても取り組んでいきたい」と答弁しました。

「金食い虫」発言に限らず、安倍政権では、内閣を補佐する官僚の緊張感が緩みつつあります。国会が内閣をコントロールする議院内閣制ではなく、内閣が国会をコントロールする傾向が強まっているからです。こうした悪循環を変えるためには、野党がもっと勢力を強める必要があります。民主党は、27日に「民進党」という名前で再出発します。釜石高校のように、逆境に耐える「鋼鉄(はがね)の心」を持って、政界に旋風を起こします。