8日早朝、国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京が2020年のオリンピック、パラリンピックの開催都市に選ばれました。私も招致活動を推進する超党派の議員連盟に参加していたので、とてもうれしく思いました。

その議連の総会が今年2月に開かれ、招致委員会の役員の方々から招致活動の方針につき説明がありました。その際、IOCへの提出資料に震災復興に関する記述が見当たらなかったため、私は、「2020年に東京でオリンピックを開催する意義として、東日本大震災による甚大な被害からの復興を世界に伝え、感謝することを加えるべきだ」と意見を述べました。

今回のIOC総会でのプレゼンテーションでは、高円宮妃殿下の久子さまから、IOCの被災地支援に感謝の言葉が述べられ、震災後6日間家族の安否が不明だった気仙沼出身のパラリンピック陸上選手、佐藤真海さんからは、被災地の子どもたちにとって、オリンピックの価値は言葉以上の大きな力を持つとの訴えがありました。

プレゼンテーションで震災を持ち出すのは、地震や原発事故の恐怖を思い出させ得策ではないとの意見も内部であったようですが、私は、今回のお二人の話は、日本開催に大きなプラスだったと思います。

そして、復興庁の設置期限もちょうど2020年度末です。汚染水問題を含む原発事故の収束、津波被災地の暮らしの再建や新たなまちづくりなど、やるべきことは山積しています。オリンピックまでに復興を成し遂げて東京五輪を「復興五輪」にするという目標を掲げることで、日本全体で震災復興を進めようという気運を盛り上げていくべきです。

さらにもう一つ、日本が世界に向け2020年度に達成を約束していることがあります。それは、財政赤字を削減していき、国の年間の支出のうち借金の元利払いを除いた基本的部分については、新たに借金することなく賄えるようにするという目標(プライマリーバランスの黒字化)です。

国土強靭化の名のもとに新たな借金をして不要不急の公共事業を全国にばらまくことは、震災復興にとってもプライマリーバランスの黒字化にとってもマイナスです。世界に胸を張って2020年の東京オリンピックを迎えられるよう、政府は震災復興と財政再建に全力で取り組まなくてはなりません。