「消費税を上げる前に行政改革をやるべきだ。」国会議員もマスコミも、そして国民の多くも同じことを言います。しかし、ここでいう「行政改革」の意味は、人それぞれではないでしょうか。法律学の権威ある辞書で行政改革の意味を調べても、「必ずしもその意味は明確でない」と書かれています。

閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」の31ページにも、「消費税率引上げまでに、国民の納得と信頼を得るため、以下の通り、政治改革・行政改革を期す」とあり、その前後にいろいろやるべきことを書いていますが、その中で何が「行政改革」にあたるのか、そして、「行政改革」をどの程度までやるのかはっきりしません

このように行政改革の意味を曖昧にしておくと、将来に火種を残すことになります。なぜなら、仮に消費税増税法が成立した場合、実際に引き上げる半年ほど前に、時の内閣が行政改革の進展も見た上で最終決断を下すことになるからです。

つまり、行政改革の意味が曖昧だと、時の内閣が「行政改革が進んだから消費税を上げる」と決断すれば消費税引上げ慎重派から異論が出るし、逆に「行政改革が進んでいないので消費税引上げを先送りする」と決断すれば消費税引上げ積極派から異論が出て、いずれにしても政治に混乱が起きかねません。

このような問題意識から、12日の衆議院決算行政監視委員会では、岡田副総理に対し、「行政改革で何をどの程度までやるべきか明確にすべき」と尋ね、

①上記の「大綱」に挙げられている、独立行政法人改革、公益法人改革、特別会計改革、国有資産見直し、公務員総人件費削減、公務員制度改革、公共調達改革、予算の組替えの活用等による徹底的な無駄の排除をもって行政改革とすること、

②行政改革は、消費税率引上げまでに、国民の納得と信頼を得られる程度まで行うこと、

を確認しました。

その上で、「国民の納得と信頼を得るためにも、行政改革について政府がいつまでに何をどの程度まで進めるかを一覧できる工程表を作るべきだ」と主張し、岡田副総理も、「なるべく早く国民の皆さんに分かりやすく、何を我々がしようとしているかを示すための作業は進めていきたい」と答弁しました。

実は、私が議員立法に携わった「行政改革実行法案」では、政府に対し、向こう3年間の行政改革の工程表を作成するよう義務付けています。この法案は、翌13日に国会に提出しました。行政改革を意味あるものにするため、行政改革実行法の早期成立を目指します。