5日、平成24年度予算が成立。戸別所得補償制度や高校授業料無償化、求職者支援制度など民主党の看板政策に加え、復興関係の予算も十分に手当てしました。ただ、ねじれ国会の下、残念だったことが三つあります。

第一に、予算成立が新年度にずれ込み、わずか数日間のための暫定予算を組まざるを得なかったこと。野党が多数を握る参議院で予算が否決されるのは想定内としても、せめて3月中に否決されればこのような無駄は生じませんでした。

第二に、予算は成立したものの、その財源となる国債を発行する公債特例法案などの審議に野党が応じず、いまだ成立の目処が立たないこと。昨年も同じことが起こり、8月に菅総理の退陣と引き換えにようやく成立しました。予算が成立した以上、その実行に不可欠な法案は同時に成立するのが本来の姿です。

第三に、マニフェストの要である「子ども手当」を実行する法案について、児童手当への名称変更や規模縮小を野党から求められ、受け入れざるを得なかったこと。総選挙で国民の審判を経て実行した政策を野党が変えたいのであれば、次の総選挙で国民の審判を受けて行うのが筋だと思います。

これらの問題がなぜ生じるかと言えば、衆議院と参議院の意見が食い違った場合に開かれる両院協議会の仕組みに不備があるからです。具体的には、両院協議会は衆参から10人ずつの議員が選ばれ3分の2の多数決で結論を出しますが、それぞれの院の結論に沿ったメンバーしか選ばれないため、常に意見は10対10に分かれて結論が出ません。

それでも予算の場合は、両院協議会で結論が出なければ憲法の定めにより衆議院の意見が通ります。今回もそのおかげで予算が成立しましたが、逆に野党とすれば参議院で否決しても意味がないので、極力審議を引き延ばそうとします。その結果、第一の問題が生じます。

他方、法律の場合は、両院協議会で結論が出ないと衆議院で再議決可能な3分の2以上の多数を握っていない限り、与党はなす術がありません。したがって、野党とすれば法案の扱いと政局を絡めたり、法案修正という形で自らの要求を与党に飲ませたりすることも可能となり、第二、第三の問題が起きるのです。

実はイギリスの議会では、このような問題に対処するためのソールズベリー慣行」というルールがあります。単純に言えば、ねじれ国会であっても与党がマニフェストに掲げた政策について野党は反対しないというものです。

日本でもこのようなルールが確立できれば、「マニフェストに書いてあることはやらずに、書いていないことをやろうとする」という批判はなくなるはずです。この点を含め、国会を真の意味で「国権の最高機関」(憲法41条)とするため、同志の方々と共に「立法府のあり方」勉強会を立ち上げました。