17日、東京地裁で陸山会事件の第14回公判が開かれました。小沢さんへの被告人質問も終わり、裁判は大詰め。石川さんなど3人の証人が法廷で語った内容と、彼らが特捜検事の取調べを受けた時の供述調書の内容とに食い違いがあるため、供述調書をこの裁判の証拠にしてよいかにつき、裁判所の決定がありました。

数多くの供述調書の中で特に重要なのは、収支報告書に虚偽記載をすることを小沢さんに報告し、了承されたとした石川さんの供述調書です。この供述調書は、検察審査会が小沢さんを起訴すべきと議決した最大の根拠。もしこの調書が証拠として使えなければ、検察審査会の結論も当然違っていたはずです。そもそもこの裁判が行われること自体おかしい、ということになります。

裁判所は、石川さんが録音していた取調べの模様を「動かぬ証拠」とし、これに基づき、担当検事が石川さんに対し、小沢さんの関与を認めるよう「強力な利益誘導」や「強力な圧力」を加える「違法不当な取調べ」があったと認定。結論として、問題の石川さんの供述調書を含め、小沢さんと事件との関わりを示す供述調書をほとんど証拠として認めませんでした。

昨年の夏、検察の信頼を取り戻すための改革の一貫として、検事総長は、違法な取調べがあった場合に「引き返す勇気」を持つことを宣言しました。今回の事件はまさにその見せ場であり、検察官が起訴していれば当然公訴取下げで裁判終了となったはずです。ところが、この事件は検察審査会が起訴しているので検察官は関与できないとし、検察は「引き返す勇気」のかけらも見せません。

おかげで被告人とされている小沢さんですが、去年10月の初公判後の記者会見では、「指定弁護士の主張は、検察の不当・違法な捜査で得られた供述調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくに過ぎず、この裁判は直ちに打ち切るべきです」と、大勢のマスコミを敵に回して自らの主張を繰り広げました。

当時マスコミは、「行き過ぎた検察批判だ」と小沢さんを攻撃しました。しかし今回、検察の取調べを「違法不当」と断じた裁判所の決定を読めば、小沢さんの主張が誤りでなかったことは明らかです。検察の「引き返す勇気」は偽物ですが、小沢さんの「言い返す勇気」は本物でした。