11月は、「仕分け」だけでなく重要法案の「仕上げ」にも精力的に取り組みました。月の前半は、主に零細企業、農林水産業者、医療法人向けの貸金債権を買い取る組織を作り、二重ローン対策に万全を期すための「東日本大震災事業者再生支援機構法案」で、既に成立しました。

月の後半は、復興特区とされた被災地において、土地の利用方法など様々な国の規制を緩和したり、税制を優遇したり、手厚く使い勝手のいい復興交付金を配ったりできるようにし、復興を後押しする「東日本大震災復興特別区域法案」で、私も答弁に立ちました。(29日に衆議院通過)

いずれの法案も、国会審議前に自民党、公明党との実務者交渉に民主党側の一員として参加しました。ねじれ国会の下では、たとえ政府与党として最善と考える法案であっても、野党の皆さんの協力が得られなければ成立しません。交渉に当たっては、法律を実行する責任を負う政府与党として譲れない部分を守りつつ、先方の主張をなるべく取り入れるという方針で臨みました。

例えば、復興特区法案では、上記の復興交付金をどのような事業を対象に配るかが問題となりました。当初の政府案では、土地の区画整理や高台移転、地方道路の建設など大きな工事を要する事業(基幹事業)と、基幹事業と一体となって効果を増大させるために必要な事業(効果促進事業)を対象として配ることにしていました。

ところが、自民党側から効果促進事業について、「一体となって効果を増大」という条件は厳し過ぎるとして、「復興のため地域の特性に即して自主的かつ主体的に実施する事業」であれば広く配れるようにすべきだとの修正案が出ました。

しかし、基幹事業がない地域にも復興交付金が配れることとすると、津波などで大きな被害を受けた地域に優先的に復興交付金を配ろうという、政府案の本来の目的が達せられなくなるおそれがあります。

そこで最終的には、自民党案を更に修正し、「復興のため同号に掲げる事業(注:基幹事業を指します)に関連して地域の特性に即して自主的かつ主体的に実施する事業」を民主党側から提案し、合意にこぎつけました。

法案の交渉は、時に野党と政府の板挟みに合い、骨の折れる作業ではありますが、企業内弁護士時代に、契約交渉で同じような局面を経験したことが役立ったように思います。