法務委員会にて

6日、法務委員会で質疑を行いました。司法試験合格者の修習中の給与が11月から廃止されたことに伴い、国から生活費を借りた修習生の返済負担を軽くするための裁判所法改正案が議題です。この法案については、法曹を志願する人の激減に歯止めをかけなければならないとして、法曹養成制度全体を見直すまで間、給与は廃止せず維持すべきとの異論もあります。

私も前回のこの委員会の質疑で、法曹志願者の減少問題を取り上げました。しかし、司法修習生の給与を維持したからといって法曹志願者の減少に歯止めがかかるとは思いません。受験すべきかどうか迷っている人にとって、修習中の懐具合がどうなるかより、もっと重要なことがあります。

一つは、合格するまでにお金がいくらかかるかです。今の制度では、司法試験を受ける前に法科大学院を卒業するのが大原則であり、法科大学院の学費は平均すると私立で427万円、国立で271万円かかります。加えて在学中の生活費も必要です。合格率が高くない試験を受けるのにこれだけのお金をかけるのは、かなりの勇気が要ります。

さらに、もっと重要なのは、万一合格できなくても食べていけるかということです。今の制度では、法科大学院卒業後5年内に3回不合格になると受験資格を失います。失格者は、年齢の問題などもあり、法科大学院にかけたお金と時間に見合う就職先を見つけるのは困難です。

私は、先日の「政策仕分け」に引き続き、これらの問題を解決するには、法科大学院の廃止を含めた抜本的な見直しを検討すべきと主張し、文部科学省の城井(きい)政務官は、「文部科学省としても、タスクフォースを設置して取り組みを加速する」と答弁しました。

私もかつては司法修習を受け、修習に専念するために国が給与を支給する重要性も理解しています。しかし、法科大学院をどうするか明確な方針もないまま、年間70億以上の国費を使って司法修習生の給与を維持することに、国民の理解は得られないと思います。

この問題に限らず、議論の順序を誤ると政治は前に進みません。TPP参加の前に震災復興、消費税引き上げの前に政治行政の改革を進めるべきです。