18日の早朝、サッカー女子W杯でなでしこJAPANが優勝。実力で上回る米国に何度も決定的なチャンスを作られましたが、固い守りで失点を最小限に食い止め、世界の頂点に立ちました。

特に、終了間際にゴールキーパーと1対1になった米国の選手を、岩手出身の岩清水選手が体を張って止めたプレーは勝負の分かれ目でした。あれがなければ、決勝ゴールを決められていた可能性は大です。

このプレーに対し、主審が即座にレッドカードを出しました。退場にするほど悪質な反則には見えませんでしたが、岩清水選手は、抗議もせず淡々とグラウンドを去りました。その潔さがチームの雰囲気を明るく保ち、その後のPK戦での日本の勝利に結び付いた気がします。

一方、小沢さんの元秘書三人の刑事裁判でも、終了間際、裁判所から検察にレッドカードが突きつけられました。収支報告書の土地購入時期の記載にズレがあった問題について、小沢さんや大久保元秘書に報告して了承を得たとする、他の二人の元秘書の供述調書が証拠却下されたのです。

裁判所は、①他の被告が自白したと嘘を言って自白するよう求める「切り違え尋問」や、②目の前でメモを破り捨てるなど威圧的な尋問など、検察官の違法、不当な取調べで得られた供述だとし、供述調書は証拠にできないと判断しました。

検察はフェアプレーに反する行為をしたわけで、この裁判を続行する資格はありません。にもかかわらず、この判断が確定して間もなく行われた20日の公判では、検察は自らの不祥事を何ら反省することなく、3人の被告に禁固1年から3年半を求刑しました。

証拠偽造が判明してもなお公判を続けた村木事件の反省を踏まえ、笠間検事総長は、捜査に問題があれば関係者で協議し、裁判を取りやめるなど「引き返す勇気」を持つことを8日に表明したばかりです。

「引き返す勇気」というと特別なことのように思いますが、本来レッドカードが出たら岩清水選手のように淡々と退くべきです。過ちを改めるのにいちいち「勇気」が要る組織だからこそ、過ちが発覚しても暴走が続くのだと思いました。