14日、国交省の「建設工事受注動態統計」において、①長年にわたり事業者から毎月提出される受注金額等の調査票の書換え(=提出期限を過ぎて過去月分の調査票がまとめて提出された場合、提出月の数字とするために合算)がなされ、②第二次安倍政権発足直後からは数字が水増し(=提出期限を過ぎた調査票は、提出を待たずに他社の平均的な受注額があったと見なして数字を計上したため、その後に調査票が届き①の作業をすると二重計上が発生)されていた問題につき、第三者委員会による調査報告書が国会に提出されました。

報告書の全文は、「建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会」の報告書について – Gov base (gov-base.info) の報道発表資料を、今回の第三者委員会の調査が行われるきっかけとなった私の質疑は、【国会質疑報告】2021年12月15日(水) 予算委員会 | しなたけし(衆議院議員) (shina.jp) の議事速報を、それぞれご参照ください。

この報告書によると、2019年に厚労省の「毎月勤労統計」の不正が国会で問題となり、政府の基幹統計について一斉点検が行われた際、今回問題となった統計の担当者が上記①の書換えを報告しようとしたのに上司が拒否。同年6月にも別の担当者が①の中止を進言したのに受け入れられなかったようです。会計検査院からの指摘を受け、2020年の1月になって国交省は、①の作業を実際に行っていた都道府県の担当者にこれをやめるよう指示をしましたが、指示が徹底せず一部の自治体で直近まで書換えが続いていました。

調査票の書換えによる受注金額の水増し計上によって、3か月ごとに政府が発表するGDP(国内総生産)も実態より上振れしていた可能性があります。もしそうだとすると、来年度予算案の税収の見通しにも影響を与え、これを正さなければ予算審議も成り立ちません。

これに関して、私の質疑の中で岸田首相は、「令和2年(2020年)の1月から数字の改善を行っており、令和2年度、令和3年度のGDPの統計には直接影響がない」と答弁。政府の統計全般を管理する金子総務大臣も「総理が述べられたとおり、令和2年、3年は書換えがない統計に基づいている」と答弁していました。

しかし、上記のとおり、2020年1月以降も書換え作業は続いていました。二人の答弁は事実に反します。そして、GDPへの影響を担当の内閣府や総務省に尋ねても明確な答えは返ってきません。岸田首相は、その後の答弁で、GDPへの影響がないことを理由に、来年度予算案の審議の前に国会でこの問題を議論することを拒んでいました。もはやその理由は成り立ちません。17日から始まる通常国会において、霞が関の隠ぺい体質を改め、統計の信頼を回復するために、関係者の責任追及と再発防止に取り組んでいきます。