8日、「レンタルオーナー商法」という手口で高齢者を中心にのべ1万人から2100億円を集め、資金繰りに窮して破産したジャパンライフの山口元会長ら14人が詐欺の容疑で再逮捕されました。弁護団によると、破産手続きで被害者が回収できるのは債権額のわずか0.02%程度だそうです。集めたお金はどこに消えてしまったのでしょうか?

「レンタルオーナー商法」とは、「ジャパンライフから磁気ネックレスなどを買ってそのまま同社に預ければ、別の客にレンタルして得た料金で高利回りの配当を支払う」旨の契約を顧客と結ぶものです。しかし、顧客が買ったはずの磁気ネックレスなどはほとんど存在せず、レンタルは行われませんでした。約束した配当の支払いには、新たに磁気ネックレスなどを「買った」顧客から支払われる代金を充てていました。

前の顧客に約束した高い配当金を支払うためには、後からより多くの顧客を集めなくてはなりません。そのために安倍前首相からの「桜を見る会」の招待状などを宣伝に使いましたが、最終的に行き詰まって破産したのです。顧客から集めたお金が目先の運転資金や前の顧客への配当に回された結果、被害者に戻ってくるお金はほぼゼロになってしまいました。

日本の財政も同じような道をたどっています。消費税が10%に上がって今年度の税収とその他の収入は合計70兆円程度の見込みですが、社会保障、公共事業、防衛、教育、地方への交付金などで約80兆円が使われます。ここで10兆の赤字、さらに過去の借金の利払いと一部返済で約23兆の赤字、加えて今年はコロナ対策で約60兆の赤字が上積みされます。これらの赤字を合計した90兆円強の赤字を新たな借金で賄わなくてはなりません。

そして、過去の借金のうち返済期限が到来したのに返済しきれず、借り換えなくてはならないものが120兆円もあります。すべて合わせると、今年度だけで210兆円もの資金を銀行や保険会社などの機関投資家から借りなければなりません。新たに投資家から莫大な借金をし、そのお金で当面必要な経費を賄いながら、過去に借金をした投資家に返済するという点では、ジャパンライフと似たりよったりです。

もちろんジャパンライフの被害者と異なり、国の借金を引き受ける投資家は金融のプロであり、危うい先には投資しません。そこで、今年度から投資家が引き受けた借金(長期国債)については、日銀が数量制限なしに高価格で買い取る、いわば「買取り保証」を付けているのです。これがなくなれば、日本は新たな借金が困難となり、財政破綻に進みかねません。

借金を借金で返すやり方は危険です。コロナ対策と表裏一体で解決策を議論するべきです。