1日、日本学術会議の新会員99名が任命され、6名が任命を拒否されました。学術会議は、日本学術会議法に基づき、職務を「独立して」行い、科学に関する政策を「政府に勧告」できます。学術会議の会員は合計210人で、3年ごとに半数が入れ替わります。

会員は、学術会議が候補者を選んで首相に推薦し、その推薦に基づいて首相が任命します。以前は選挙で会員を決めていましたが、昭和58年頃、首相の任命制が導入されました。ただし、改正案の審議の際、政府は会員の独立性、自主性を守るという観点から、「実質的に総理大臣の任命で会員の任命権を左右することは考えていない」、「内閣総理大臣が形式的な任命行為を行う」と国会で答弁しています。

にもかかわらず、菅首相は、理由も説明せず6人の任命を拒否しました。法の趣旨に反し、憲法が保障する「学問の自由」を奪いかねない、前代未聞の人事です。しかも、この6人は、過去に特定秘密保護法案や安保法案、共謀罪法案など、安倍政権下で問題となった法案を批判していました。政府を批判する学者は任命しないという意味にも取れます。

菅首相は、自民党総裁選挙中、官僚の人事について「『何をやる』という方向を決定したのに反対するのであれば、異動してもらう」と述べ、官房長官時代には、政権の不祥事を追及する記者の質問を無視していました。自らの意向に沿わない意見を排除する姿勢が目立っています。政権に批判的な意見も含め、多様な意見を聴く姿勢がなければ、独裁国家の指導者と同じです。菅首相は国政選挙ではなく、自民党総裁選挙に勝って首相に選ばれました。自由民主党が真に自由と民主主義を重んじるのであれば、直ちに態度を改めるべきです。

多様な意見を聴くことは、首相だけでなく、私たち一人ひとりの国会議員にとっても、もちろん重要です。コロナ禍によって集会などが開きにくくなり、多くの人と交わって直接意見や要望を聴く場面が少なくなっています。とくに、日頃から接点の少ない若い世代の皆さんと語り合う機会が激減しました。そうした中、初の試みとして9月27日に「コロナ禍で困難に直面する若者の声を聴く」と題してオンラインの座談会を開催しました。

「夜回り先生」こと水谷修先生にもご参加頂き、約2時間にわたり、学業とアルバイトの両立が困難となっている学生や、無責任な従業員や理不尽な顧客への対応に苦労する若い店長、無駄な作業に日夜追われて疲弊している若手官僚など、多くの若者から貴重な意見、要望を聴きました。中には、政治家に対する辛辣な意見もありましたが、それも含めて今後の政治活動のエネルギーをもらえた2時間でした。多様な意見を排除するのではなく、尊重する政治家が今の日本には必要です。