20日から通常国会が始まり、今年度の補正予算、来年度の本予算と、予算関係の審議が続きます。本予算の方を見ると、国の新たな借金が前年より1000億円減って32.7兆円となっています。消費税を10%に上げたことで国の税収が前年より2.3兆円も増えることに比べ、財政改善効果は微々たるものです。そればかりか、昨年度の決算で余ったお金(剰余金)を、今年度の補正予算で使い切らずに5000億円残し、これを本予算の「その他収入」に回すという姑息なやり方で、見かけ上、借金を減らしているのです。

そもそも、剰余金の少なくとも半分は、過去の借金の返済に充てなくてはなりません(財政法6条)。ただし、東日本大震災の時など、補正予算で多額の資金が必要となる場合は、国会で特例法を成立させれば、剰余金を借金の返済に充てず、補正予算等で全額使い切ることも可能です。新たに借金をして補正予算を組むよりも、剰余金を活用した方が経済的だからです。

今回も、政府は特例法を通して前年度の剰余金1兆3000億円を全額使う方針ですが、そのうち5000億円を本予算で使うため、補正予算では8000億円しか使えません。その結果、今年度の補正予算では4.4兆円も新たな借金をすることになります。これまでのやり方であれば、補正予算の借金はもっと減らせたはずでした。予算編成を行う財務省の担当者に確認したところ、このような剰余金の使い方は過去に例がないようです。

国の借金が増え、財政が厳しいと言って国民に増税をお願いした手前、本予算で借金が増える事態は避けたかったというのが安倍政権の本音ではないでしょうか。しかし、森友・加計問題や「桜を見る会」の問題と同じで、安倍政権が姑息な手段を使ってつじつまを合わせようとすればするほど、実態が明らかになった時のダメージは大きくなります。

現に、昨年の政府予算案では、今年度はアベノミクスの効果と10月から始まる消費増税で前年度より税収は3.4兆円も増え、借金は1.7兆円減らせるはずでした。財政が健全になるという楽観的な予算案に対し、昨年の予算委員会で、私はポイント還元の予算が大きく膨らむ可能性を指摘しました。案の定、ポイント還元に充てる予算は足りなくなって補正予算で倍近くに増えました。税収も目標を2.3兆円下回り、景気対策や先に述べた姑息な剰余金の使い方がなされると、借金は減るどころか2.7兆円も増えそうです。

消費税を増税したのに税収は伸び悩み、借金を増やし続けるのであれば、何のための増税なのか分かりません。次期国会では、この不都合な真実を安倍政権に突きつけ、国民に対して誠実な税制と財政のあり方を提案していこうと思います。