2016.1.28甘利大臣疑惑追及チーム② (1024x576)

28日は甘利大臣の辞任、29日は日本銀行のマイナス金利導入と、政治と経済に立て続けに衝撃が走りました。TPPの交渉を担当した重要閣僚の甘利大臣が辞任したことで、当初29日から始まる予定であった衆議院の予算委員会は延期となりました。

「策略にはめられた」と甘利氏をかばう声も与党側から聞こえます。仮にそうだったとしても、大臣やその秘書が口利きをして金銭を受け取り、その一部が着服された事実は消えません。また、そもそも国内の一業者の策略に易々とはまってしまう政治家に、TPPという国益のために各国が火花を散らす交渉を委ねてきた、安倍首相の任命責任も問われることになります。大臣辞任=「甘利ロス」、ですべてを無にすることはできません。

一方、「マイナス金利」とは、民間の各銀行が日銀に預けている当座預金のうち、一定額を超えた分については金利をゼロあるいはマイナス0.1%にしようというものです。これまでは、日銀当座預金には0.1%の金利が付いていたので、銀行はある程度利益を得ることができました。その金利がゼロかマイナスになれば、銀行は日銀にお金を預ける代わりに企業などにお金を貸すため、金回りがよくなって2%の物価上昇目標も早期に達成できるはず、というのが黒田日銀総裁の考えです。

果たしてそのように上手くいくのでしょうか?今回の変更で日銀当座預金のうち当面約40兆円が金利ゼロ、10兆円がマイナス0.1%になるそうです。日銀の説明どおりなら、民間銀行全体で50兆円ほどが貸出しに回るはずです。しかし、借りたい企業がどれだけあるか不明ですし、貸し倒れになっては元も子もないので、借りたい企業全てにお金を貸せるわけでもありません。銀行の経営判断として、日銀から得られなくなる金利分を埋め合わせるために、貸出しではなく預金者に払う利息を下げたり、各種手数料を上げたりすることもあり得るでしょう。

黒田総裁は、自ら約束した物価目標の達成時期がどんどん先送りされる中、自己のメンツを守るため、お金を貸したり預けたりした人が損をする仕組みを選んだように見えます。マイナス金利=「金利ロス」、は極めて異常なやり方です。政治も経済も異常な状態を一刻も早く正すべく、3日から再開される予算委員会に臨みます。