資料5_0110日、衆議院の予算委員会が開かれました。「臨時国会を開け」という私たち野党の要求に対し、与党は「閉会中審査」という形で衆・参それぞれ1日ずつ予算委員会を開くことを渋々認めました。短い割当時間の中で、私は質問に立ちませんでしたが、民主党の追及によって安倍政権が「守るべきものを守らない」ということがはっきりしました。

第一に、法を守っていません。憲法53条で衆・参いずれかの総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会を召集する義務が生じます。おまけに自民党の憲法改正草案では、「要求があれば20日以内に招集されなければならない」と定めていて、既に要求から20日以上経っています。この点を山井代議士が質したのに対し、安倍首相は、「(憲法53条では)召集時期について何ら触れられていない」と答弁しました。それを言うのであれば、法律の成立時期も憲法では触れられていません。安倍首相は、安保法案を「夏までに成立させる」と米国議会で約束しましたが、これは誤りだったと認めるべきです。さらに、高木復興大臣も法を守っていません。柚木代議士の追及により、自らの後援会を通じて公職選挙法で禁止されている供花の贈与をしていることを認めましたが、謝罪の言葉はありませんでした。

第二に、選挙公約を守っていません。昨年の今頃、「アベノミクスについて信を問う」と言って安倍首相は衆議院を解散し、総選挙を行いました。しかし、アベノミクスが始まって3年近くになりますが、物価上昇によって目減りした分を考慮すると賃金はむしろ下がっています。岡田代表がこの点を質すと、「パートで働き始めた人が多いから、平均すると賃金が下がる」と答弁しました。しかし、3年経ってもこの傾向が変わっておらず、特に若い世代では正社員が減っています。アベノミクスの3本の矢が的に届く前に、選挙で信を問うていない新たな3本の矢を打ち出すのは公約に違反しています。

第三に、国会決議を守っていません。TPP交渉に関する国会決議において、コメなどと共に日本の聖域として守るよう政府に求めた牛肉について、現在の38.5%という関税が最終的に9%まで引下げられることが合意されました。昨年のオーストラリアとのEPA(経済連携協定)でも牛肉の関税は19.5%まで引き下げられましたが、これが限界ラインだというのが当時の自民党の見解でした。玉木代議士が主張したとおり、明らかに国会決議に反しています。

米国での約束や違法行為を犯した閣僚は守りつつ、国民との約束や憲法などのルールは守らない安倍政権。「守るべきもの」と「守るべきでないもの」とが逆転しています。テロの惨禍が広がる中、国民を「守るべきもの」と考えているのかも改めて問う必要があります。