unnamed27日、戦後最長の通常国会が終わりました。通常国会は法律で会期は150日間とされていますが、1回に限り延長が認められます。今年の通常国会は、当初1月26日から6月24日までの予定でした。しかし、安倍首相が米国議会で「夏までに成立させる」と約束した安保法案を成立させるため、95日間もの延長がなされたのです。

法案を成立させるのは立法権を持つ国会の仕事であり、行政権のトップである安倍首相には何の権限もありません。むしろ日本の議院内閣制は、国会が首相の上に立って行政権をコントロールするものです。首相が国会の上に立ち立法権をコントロールしているかのような米国議会での発言は、議院内閣制を無視する前代未聞の「禁じ手」です。安倍首相が国会質疑中に質問者に度々やじを飛ばす場面もありましたが、これも国会が首相をコントロールしていることをわきまえない明らかな「禁じ手」です。

安倍首相は、国会との関係を履き違えているだけでなく、首相の権力を制限する憲法との関係や、主権者である国民との関係も履き違えています。だからこそ、与党の参考人である憲法学者までが違憲と断じた安保法案を白紙撤回せず、各種世論調査で国民の8割が審議・説明不十分と答えても審議打ち切りで強行採決するという、とんでもない「禁じ手」を犯すことができるのでしょう。

安倍政権の「禁じ手」は安保法案だけに留まりません。通常国会の冒頭で審議された補正予算では、財政健全化を装うため今年度予算に計上すべきものを前倒しし、不要不急の事業に多額の資金をつぎ込みました。閣僚の「政治とカネ」の問題も次々と明るみに出ましたが、農水大臣以外は責任を取っていません。公共放送のトップとしてあるまじき言動を繰り返すNHKの籾井会長について、その任免権を有する経営委員会が放置していてもお咎めなしです。復興は道半ばなのに、来年度から被災地にも復興事業の費用負担を求めることも決めています。

こうした数々の「禁じ手」に対し、スポーツなら当然ペナルティが与えられるところです。ただし、W杯で日本代表が活躍中のラグビーのように、「禁じ手」があっても審判が直ちにペナルティを与えない場合もあります。「禁じ手」がいつどこでどのように行われたかを記憶しておき、試合の流れを見て必要な時にペナルティを科す「アドバンテージ」というルールです。国会は終わりましたが、政治に終わりはありません。審判である国民は、安倍政権が多くの「禁じ手」を犯したことを忘れないはずです。「アドバンテージ」を信じつつ、安倍政権を倒すだけでなく、越えていくことを目指し、同志と共に挑戦を続けます。