21日、財務金融委員会で質疑を行いました。金融商品取引法等の改正案が議題です。

①インサイダー取引をさせる目的で未公表重要情報を漏らした場合、実際に取引した者だけでなく情報を漏らした者も処罰する規定、②AIJのように運用実績を偽って金融商品を勧誘、販売する行為を未然に防ぐための規定、③リーマンショックの時のように一部の金融機関の取引不能が金融システム全体に影響を及ぼさないようにするための法的管理の仕組みなどを盛り込んだものです。

近年、金融を巡る事件や不祥事が相次いだことから、改正法案の分量は膨大なものです。金融取引は物の取引と違って商品の価値やリスクが分かりにくい点で業者が顧客をだましやすいだけでなく、わずかな時間と労力で莫大な利益が得られるため違法、過大な取引が行われがちであることから、このような改正はこれまでにも行われてきました。

私は、麻生大臣に対し、①については、新しい処罰規定が実効性を保つよう、情報漏えいをした者が不合理な弁解をして処罰を免れることのない法の運用をすべきだと主張し、「被害を最小限にとどめるのが本来の目的ですので、実効あらしめないと話にならぬ」との答弁を得ました。また、③については、あえてリスクの高い取引を行って金融秩序を混乱させた金融機関を安易に公的資金で救済しないよう求め、「自己責任というところをきちっとしておかないと(いけない)」との答弁を得ました。

しかし、金融を巡る事件や不祥事の再発を防ぐためには、法律で規制を強化するだけでは足りません。金融取引が過熱しないように、経済政策を安定感のあるものにしなければなりません。安倍内閣と日銀が目指す2%の物価上昇目標と異次元の金融緩和が、このところ株価や長期金利を乱高下させています。安値で買って高値で売り抜けたり、高値で(先物を)売って、安値で買ったりする、短期の投機的な取引が起きやすい状況です。

安倍首相は、大胆な金融緩和で国民の経済回復への期待に働きかけると言いますが、期待に働きかけるのであれば、例えば、安倍首相が先に記者会見で述べた「農業・農村所得の倍増目標」につき具体的な工程表を作るべきです。この点につき、この日の委員会で長島農水政務官に尋ねたところ、「工程表を作るかどうかは、今後検討されることになる」とあいまいな答えでした。アベノミクスは、「期待に働きかける」というより「射幸心をあおっている」ように思えます。