3日と10日の法務委員会で質疑を行いました。犯罪被害者が刑事裁判に参加する際、国が旅費を支給し、経済的に苦しい被害者が国費で弁護士を付ける制度を見直して弁護士を利用しやすくする法案などについて、谷垣法務大臣と議論しました。

そもそも犯罪被害者が刑事裁判に参加できるようになったのは、比較的最近のことです。平成19年に法律ができるまで、被害者は事件の当事者であるにもかかわらず、裁判上は「証拠」の一つという扱いでした。当時は私も国会議員になる前で、弁護士会の犯罪被害者支援委員会に属し、様々な被害者の声を聞き、その地位の向上に努めていました。

その後は、国会議員として犯罪被害者の支援に取り組み、振り込め詐欺救済法、少年法改正、重大犯罪の時効廃止法など、被害者の要望を形にする立法に関わってきました。今回の法案も被害者の要望に沿ったものではあります。ただし、刑事裁判への参加以外の被害者支援について、今回の法案では何も触れられていません。

私は、仲間の弁護士の意見も踏まえ、内閣が提出した上記の法案に以下の二つの制度を盛り込んだ修正法案を提案しました。第一に、一定の重大犯罪の被害者が無料で法律相談を受けられる制度、第二に、法律相談をした結果、その経済力なども考慮して必要と認められる場合には、国費で弁護士を付け、被害届の提出、事情聴取への同行、裁判の傍聴付添いなど裁判参加以外の支援に当たる制度、です。

こうした制度の導入につき、谷垣法務大臣は、「合理的な国民負担であるかどうかという観点から、制度全体として整理しなくてはならない」、「全体の財政状況等も見ながらやっていかなくてはならない」と後向きの答弁であり、修正法案も与党の反対で否決されました。しかし、制度導入によって必要となる予算は、多く見積もっても当面1億円程度です。

また、無料の法律相談については、津波で被災した方向けに既に実施済みです。別の質問者への答弁で、谷垣法務大臣は、大船渡にオープンした「法テラス気仙」を訪ねた際、大勢の方が法律相談に来られるのを見て、被災者に寄り添い、被災者が抱える悩みを解決する道をつくる重要性を感じたと語っていました。

犯罪被害者も、ある日突然、何の落ち度もないのに大切な家族を奪われ、心や体に大きな傷を負い、財産を失うなど、その境遇の過酷さは津波の被災者と相通じる面があります。被災者と同じく被害者にも寄り添う制度をつくるべく、今後も努力を続けます。