29日、雲一つない快晴下、天皇皇后両陛下や秋篠宮様ご夫妻を国会議事堂にお迎えし、議会開設120年記念式典が挙行されました。

天皇陛下は、帝国議会から戦後国会となって今日に至る議会史に触れつつ、「議会が、わが国における議会政治の確立に努め、国の発展と国民生活の安定向上に力を尽くしてきた」とされ、

「現下の内外の諸情勢に思いを致すとき、国会が、国権の最高機関として、国の繁栄と世界の平和のため果たすべき責務は、いよいよ重きを加えていると思います。ここに、関係者一同が、先人の努力をしのぶとともに、決意を新たにして、国民の信頼と期待にこたえることを切に希望します」とのお言葉をお述べになりました。

ねじれ国会となって、野党の言い分を十分聞かなければ国会審議は進まない状況になりました。加えて、中国、ロシア、北朝鮮など近隣諸国に不穏な動きがあったり、検察、警察、海上保安庁など治安関係の組織に情報の捏造、漏洩があったり、次々と問題が発生。政府の対応が野党の攻撃材料になりました。

そうした中で、かつてないほど予算委員会では集中審議が行われ、肝心の補正予算の審議はなかなか進みませんでした。私は、この苦境を救った一人が衆議院予算委員長の中井洽代議士だったと思います。野党の質問者と与党閣僚の答弁者の間に立って、議論が脱線しないよう適切に議事を進行させていました。

その中井委員長が今回の記念式典で不適切な発言をしたとの批判を浴びています。しかし、三人ほど隔てた席にいる私のところですら、何を言ったかはっきり聞き取れませんでした。いずれにせよ、声の大きさからして秋篠宮様に向けた発言でないことは確かです。

これを失言と捉え、懲罰動議の対象とする動きがあったのは、現場にいた議員の一人として違和感があります。国会を失言追及のための「暴力装置」とするのではなく、国民の信頼と期待にこたえる真の意味での「国権の最高機関」としなくてはなりません。それこそが天皇陛下の御心に添い、何よりの皇室への敬意の表れになるはずです。