4日、行政刷新会議の事業仕分けにならって、総務省でも事業仕分けを行いました。行政刷新会議では仕分け対象にならなかった総務省関係の10の事業について、①国が行う必要があるのか、②事業の内容や予算規模を見直す余地はないか、を検証しました。私が担当する旧総務庁の関係では、「政府認証基盤等整備事業」なるものが対象になりました。

 これは、8年以上前の森政権末期のIT戦略本部の決定に基づく、行政手続きをインターネットでできるようにする電子申請に関するものです。行政手続きをインターネットで行う場合、お互い相手の顔が見えないため、本人であることの確認が重要となりますが、本人確認のシステムを運営するのがこの事業です。

 来年度予算の概算要求では、約16億円が計上されています。事業仕分けのメンバーである総務省の政務三役や顧問の方々からは、「そもそも電子申請自体の利用が少ないからこの事業の意味も乏しい」とか、「銀行取引をインターネットで行う場合にはIDとパスワードがあれば足りるから、これほど大掛かりなシステムはいらないのではないか」といった意見が出されました。

 実際、電子申請の利用は、総務省関係の年間約20万件の申請のうち700件弱、率でいえばわずか0.35%に過ぎません。コスト計算をすれば上記の本人確認の分を除いても、なんと1件当たり17万円にも達するという試算も出されました。

 私からは、本人確認のシステムを運営する事業が大手のコンピュータ業者に委託されているが、それと共に総務省出身者がトップとして天下りしている行政情報システム研究所という社団法人にも委託され、年間9億以上のお金が流れていることを指摘しました。この社団法人はトップを含め4人の総務省出身者が役員として天下りしており、職員33人に対して役員が14人(ただし常勤は1人)もいます。

 ムダな事業を行うために新たなムダな事業が生み出され、そこで使われる税金が天下りを養っているように見えます。この事業仕分けを契機にきっちりムダを無くし、浮いたお金を疲弊する地方に回していければと思っています。