5日、6日と政府税制調査会(税調)が開かれ、各府省から来年度の税制改正要望の説明がありました。10月末までに各府省で取りまとめた税制改正要望につき、税調で審議を行い、採用するかどうかを決定します。総務省は、地方の財源となる地方税を所管しており、主に地方税に関する要望について内容をチェックします。

 もっとも活発な意見交換がなされたのが環境税(地球温暖化対策税)。環境省の田島一成副大臣は、「鳩山総理が掲げた2020年までに温室効果ガスを25%削減(1990年と比較)するとの目標を達成するため、ガソリンや軽油など全ての化石燃料に対して環境税を課す」という案を提示しました。民主党マニフェストで掲げた地球温暖化対策税の導入に基づくものではありますが、現時点では、まだ導入時期や増税の規模、税金の使い道が明確になっていません。

 一方で、同じマニフェストにおいてガソリン税などの暫定税率を廃止することも約束しているため、もし暫定税率の廃止と同じ時期に環境税を導入すれば、国民の理解を得られないのではないかという意見も出ました。

 私は、暫定税率廃止による約2.5兆円の減収を環境税によってまるまる取り戻すのは問題だと思いますが、いずれは環境税を導入することを約束している以上、例えば暫定税率廃止による減収の半分程度の規模で早めに環境税を導入した方がいいのではないかと思っています。

 その場合に重要なのは、暫定税率から環境税への移行が単なる「看板の付け替え」だと捉えられないようにすることです。そのためには、道路建設という特定の目的のために使われてきた暫定税率とは異なり、環境税は社会保障など必要な分野に自由に使える一般財源だということを強調するべきです。

 環境税による税収については温暖化対策のために使うというのが環境省の提案ですが、私は、「化石燃料に環境税を課せば、ガソリンなどの消費が減り、それ自体で温暖化対策が実現できる。税金の使い方まで温暖化対策にこだわる必要はない」と主張しました。

 これから年末にかけ、地球を冷やすための熱い議論が繰り広げられます。