19日、日本銀行は、マイナス金利と長短金利のコントロールをやめることを決定しました。また、物価が安定的に2%を超えるまで日銀が市場にお金を供給するという約束も中止しました。株式の投資信託(ETF)を日銀がこれ以上買うこともなくなります。11年続いた「異次元の金融緩和」が、ようやく終わります。

マイナス金利は、預貯金の利息を失わせ、地域金融機関の収益を悪化させ、円安・物価高を招いてきました。一方、長短金利のコントロールは、2%の物価目標が賃金の上昇を伴って持続的・安定的に実現できると見通せる状況になってからやめるはずでした。しかし、賃金の伸びが物価に追い付かない状況が2年近く続いています。中小企業は今後も十分な賃上げができない可能性があります。

それでもあえて日銀は、今回の決定に踏み切りました。「異次元の金融緩和」は役割を果たしたので「転換」すると説明していますが、役に立たないので「撤退」するというのが、本当のところだと思います。

「撤退」によって新たな問題も出てきます。今後、短期金利が上昇すれば、日銀が保有する超低金利の国債の受取利息よりも、日銀にお金を預けている民間金融機関への支払利息の方が上回り、しばらくは数兆円単位の赤字になりかねません。

一方、ETFの方は、株価がバブル期を上回る最高値を記録する中で、日銀の保有時価総額約70兆の半分程度は含み益となっています。また保有するETFが毎年受け取る分配金も1兆以上あります。再びバブルが崩壊しないよう注意しながら、日銀が国民の利息収入を犠牲にし、長年買いだめしてきたETFを処分し、国民に還元するという課題もあるのです。

今日まで、前任者の負の遺産の解消に取り組んできた、植田総裁をはじめ関係者の努力には心から敬意を表します。しかしながら、「異次元の金融緩和」の失敗により、財政と地域経済が悪化したことを、肝に銘じるべきです。立憲民主党では、岸田政権のように少子化対策のために国民に新たな負担を求めるのではなく、ETFの分配金を活用する方法を検討しています。日銀の協力も求めていきます。

金融政策の大きな節目を迎え、立憲民主党のネクスト財務金融大臣である私から、今後は「異次元の金融緩和」の失敗を教訓とし、我が党が昨年策定した「新しい金融政策」に基づいて、金融政策の正常化と賃金の上がる経済の実現を目指す方針を公表しました。金利だけでなく、私たちの手取り収入もマイナスからプラスに変えられるよう、しっかり取り組みます。