16日、衆議院の憲法審査会で自由討議が行われました。自民、公明、維新、国民の各党と有志の会からは、従来同様、「緊急事態に国会議員の任期を延長できるようにする憲法改正案を早急にまとめるべき」との意見が出されました。その主な理由は、「どのような緊急事態であっても国会の機能が維持されることが重要だから」ということです。

ところで、自民党が公表している憲法改正案では、緊急事態に関する条文として、国会議員の任期延長の定めだけでなく、内閣による「緊急政令」の定めもセットになっています。「緊急政令」とは、内閣が発する命令で法律と同じ効力を持ちます。今の憲法では、国民の代表から成る国会が「国の唯一の立法機関」です。自民党の案は、その例外を緊急事態下で認め、内閣が「緊急政令」を発することができるようにしようというのです。

しかし、国会議員の任期を延長すれば、緊急事態でも国会の機能を維持できる、と自民党も主張しています。ならば、緊急事態でも国会が法律を作れるはずです。国会に代わって内閣が「緊急政令」を発する必要はありません。むしろ、内閣に権力が集中することで、民主主義が損なわれ、国民の権利や自由が不当に制限される危険があります。

私は、自民党の中谷・筆頭幹事に対し、「任期延長がなされれば緊急政令は必要ないのではないか」と尋ねました。すると「任期延長を定めても、国会が機能不全に陥ったときに備えて、緊急政令は必要だ」と答弁。これでは、逆に任期延長をする意味がありません。

自民党改憲案の謎は、他にもあります。憲法9条に自衛隊を明記する案につき、改正理由の一つとして、「憲法に国防に関する定めがない」ことを挙げています。しかし、安倍元総理は、集団的自衛権を一部認める安保法案を強行採決で成立させた後、「法整備によって切れ目のない(国防の)対応が可能となった」と述べていました。自民党の立場からすると、国防については現在の法制度で十分なはずです。

これに関し、同僚の本庄議員から、「現在の法制度で不十分というなら、具体的に何が必要なのか、そして、憲法に自衛隊を明記することで、どうして必要なものを補えるようになるのか」と中谷氏に尋ねたところ、「具体的にどうしたらいいのか、今後とも積極的に議論していきたい」と意味不明の答弁が返ってきました。

議論を重ねれば重ねるほど、自民党の憲法改正案の謎は深まる一方です。岸田首相は、「自民党総裁の任期中に憲法改正を実現したい」と国会で答弁しましたが、今の状況でなぜそんなことが言えるのか、これもまた謎です。