23日から会期150日間の通常国会が始まりました。岸田首相の施政方針演説は45分にも及びましたが、防衛政策や原発政策など国会での議論を経ずに内閣で方針転換したことを誇らしげに述べたり、少子化対策のように、具体的なことは何も決まっていないのに大仕事をやっているように述べたり、首を傾げたくなる内容でした。

とくに岸田首相が「最重要課題」と位置付けた少子化対策は、その後に行われた代表質問でのやり取りも含め、「異次元」というより「違和感」満載でした。

第一に、政策の中身や財源がはっきりしないこと。岸田首相は、まずは全国各地で当事者の声を聴くとし、4月に発足する「こども家庭庁」の下で政策をまとめ、6月の国会が終わる頃に将来的なこども・子育て予算の倍増に向けた大枠を示す、と述べました。しかし、そもそも「こども・子育て予算の倍増」は、立憲民主党が何年も前から主張してきたことです。

25日の代表質問で泉代表が「遅過ぎる」と指摘し、「どこから財源を確保するつもりなのか」と尋ねると、岸田首相は「各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援のあり方など様々な工夫をしながら、社会全体でどのように支えていくかを考える」という漠然とした答弁でした。

ただし、この答弁をかみ砕くと、社会保険料の引き上げや地方自治体の負担増加が選択肢に入っていることは間違いありません。国会での議論から逃げようとする岸田首相を放置するわけにはいきません。立憲民主党としても「倍増」の具体策を用意し、国会が閉じる前に政府与党としっかり議論していく必要があります。

第二に、児童手当が支給される際の所得制限をなくすという提案が与党側から出たこと。泉代表の後に質問した自民党の茂木幹事長は、「すべての子どもの育ちを支えるという観点から、所得制限を撤廃するべきだ」と主張しました。しかし、その考えに立って民主党政権では所得制限をなくし、中学卒業まで1万3千円を支給する「子ども手当」を導入したにもかかわらず、自民党の「バラマキ」批判で所得制限が復活したという経緯があります。

昨年10月からは、所得制限がさらに厳しくなったばかりです。茂木氏の主張に岸田首相は応じませんでしたが、今後明らかになる政府の少子化対策に盛り込まれる可能性は高そうです。考えを改めることは評価しますが、改めるのであれば、その理由を国民に丁寧に説明し、真摯に反省すべきです。これ以外にも、復興税や金融政策も変更理由の説明が不十分です。予算委員会で同僚議員と共に厳しく追及し、正していきます。