13日、ネクスト財務金融大臣である私も参加し、立憲民主党の政務調査会では、今年4月から始まる来年度の国の当初予算案につき財務省から全体的な説明を受けました。

まず注目すべきは、予算案の規模です。今年度から約7兆円も増加し、史上最高額となる114兆円あまりとなっています。岸田政権は昨年暮れの臨時国会で29兆円という巨額の補正予算を成立させ、その大半が今年度に使い切れずに来年度以降に繰り越して使われる予定です。これも加味すれば、「異次元の予算案」と言わざるを得ません。

これほど予算が膨らんだ最大の理由は、「防衛費」の増額です。来年度から5年間の総額で17兆円を増額する計画に基づき、岸田政権は、来年度に使われる防衛費として1.4兆円、その後の分として3.4兆円を上乗せしました。そのしわ寄せが他の予算に回ったようです。年金・医療・介護などの「社会保障費」は高齢者の増加で0.6兆円増えますが、それ以外の予算は最近の物価高にもかかわらず、若干減っています。

一方、政府が勝手に使える「予備費」は前年と同じく5.5兆円です。要するに、この予算案は規模を大きくしたものの、これは国民生活を豊かにするためではないということです。岸田首相は、従来から「子ども予算の倍増」を主張し、年頭の記者会見では児童手当の拡充など「異次元の少子化対策」を打ち出しました。しかし、「倍増」するには5兆円近い予算が必要となります。今回の予算案を見ていると、やる気があるのか非常に疑問です。

もう一点、気がかりなことがあります。国の借金の元利払いに充てられる「国債費」が過去最高の25兆円あまりとなったことです。前年から0.9兆円も増えていますが、これは防衛費に次ぐ大幅な増加です。

これまでは国がいくら借金をしても、日銀が「異次元の金融緩和」によって国債を買い支え、長期金利が0%近くで抑えられてきたため、膨大な借金の利息は極めて少ない額で済んできました。しかし、日銀の買い支えも限界に近づいています。金融政策も変わり始め、これからは長期金利の上昇が進みそうです。国債費は、もっと増加するかもしれません。

大阪の淀川に迷い込んだ巨大なマッコウクジラは、潮目が変わって水深が浅くなったために身動きが取れなくなり、哀れにも死んでしまいました。国の大きく膨らんだ予算を支えてきた、勤労者の税・保険料負担と日銀の異次元緩和にいつまでも安住するわけには行きません。超少子化と金利上昇という「潮目の変化」に対応するため、次期通常国会では、アベノミクスに代わりうる「新しい財政金融政策」を打ち出したいと考えています。