8日、衆議院本会議では、旧統一教会の被害者を救済するための「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」が立憲民主党などの賛成多数で可決。参議院で無事に可決されれば、今国会最終日である10日に成立します。この法案は、立憲民主党などの原案を参考にしながら政府与党が立案し、国会に提出したものです。

提出後の国会審議でも、立憲民主党の提案で、マインドコントロール(個人の自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥らせること)への規制が強化され、次回の見直しが3年後から2年後に前倒しされる修正がなされました。2か月ほどの短い期間で、政府与党が野党の主張を取り入れた法案を一から作り、成立させたことは極めて異例です。旧統一教会の信者を親に持つ被害女性も「奇跡に近い」と仰っていました。

ただし、これですべてが解決したわけではありません。①寄附の勧誘の際、法人等はマインドコントロールを行わないよう十分に配慮する義務を負うこと、②配慮義務に反した場合は当局による勧告・公表の対象となることは、協議の末に盛り込まれましたが、当初目指していたマインドコントロールの禁止は、政府与党が反対し、盛り込まれなかったからです。

それ以外にも、信者自身やその家族が寄附を取り消すことができる場合が限られているという問題もあります。新法成立は大きな前進ではありましたが、2年後の見直しの際に残された課題を解決できるよう、仲間と共に取り組んでいきます。

同じ日の憲法審査会では参考人への質疑が行われ、憲法改正の国民投票が行われる場合の「マインドコントロール」が議論となりました。これは、資金力のある者がAIを使ってネット利用者の膨大な個人情報を収集・分析して洗脳されやすい人を選び、「フェイクニュース」などを集中的に視聴させれば、その人の投票行動を意のままにできるという問題です。

実際、トランプ大統領が選ばれた大統領選挙や英国のEU離脱が決まった国民投票では、「ケンブリッジ・アナリティカ」という選挙コンサルティング会社がそのようなことを行い、大きな問題になっています。背後にはロシアの存在も噂されています。

私は、慶応大学教授の山本龍彦参考人に「このようなリスクは国民投票法の制定時には想定されていなかった。国民投票法を改正し、ネットによる国民投票運動やネット広告への規制を盛り込む必要があるのではないか」と問うと、「政治広告の透明性については、国民投票期間に限らず規律する必要がある」と踏み込んだ答弁。私にとって今国会最後の質疑となりましたが、重要な法改正に向けて一歩前進した感があります。