2日、財務金融委員会で黒田日銀総裁と鈴木財務金融大臣への質疑を行いました。冒頭、先日の予算委員会での私の指摘に対する、黒田総裁の的外れな答弁を取り上げました。

すなわち、①2年で2%上昇するとの日銀の物価見通しがことごとく外れてきたこと、②3%を超える今の物価高につき「賃金が上がらないので物価上昇は一時的だ」と黒田総裁は述べているが、「物価だけ上がって賃金が上がらないことはない」とした過去の発言と矛盾すること、を私が指摘したところ、黒田総裁は「ご指摘のような、量的・質的金融緩和がまったく失敗したというのは事実に反する」と、指摘と無関係な答弁をしていたのです。

この答弁の撤回と謝罪を求めると、黒田総裁は、いつものようにぼそぼそと言い訳を述べていました。私から「聞く力はなく、意味のない話を延々とする力だけが感じられる。金融政策を正常化、柔軟化するために辞めて頂くしかないと思うが、辞任しないという考えに変わりはないか」と問うと、「変わりはありません」と、ここだけは力強く答えました。

急激な円安の原因を作り、これを放置しておきながら、けじめを付けようともしない黒田総裁の態度は看過できません。そして、日銀のけじめのなさがもたらした害悪は、円安に留まりません。ここ数年、政府が借金を元手に巨額の補正予算編成を続けているのです。

私は、平成以来の各年度の補正予算のグラフを示し、①平成時代は、バブル崩壊による金融危機、リーマンショック、東日本大震災のような特殊要因があった時に補正予算を積んだが、その時でも補正予算は10兆円台だったこと、②令和時代になって、コロナ禍の初年度(約70兆円)はやむを得ないにせよ、使い残しがありながら、その後も2年連続で30兆円以上の補正予算を積むのは異常であること、を説明。

その上で、鈴木大臣に対し、「補正予算が膨張した背景には、政府が超低金利で際限なく国債を発行して資金調達できる環境を、日銀が長きにわたり作ってきたことがあるのではないか」と尋ねました。鈴木大臣は、「必要な施策を積み上げた中でこのような額になった」と否定しましたが、私から更に「欧米のように物価高を抑制するために金融引き締め(利上げ)を日本でも行ったとすると、国家財政は持続できるのか」と問うと、「国債の利払い等が巨額なものになって、財政的には非常に厳しいものになる」と率直な答弁でした。

このように日銀のけじめのなさが節度のない財政運営をもたらし、財政の持続可能性を危うくしています。英国では、大幅減税を打ち出したトラス首相が、財政悪化の不安による国債の暴落を招き、就任早々退陣しました。日本にとっても「他人事」ではありません。