今国会でも衆議院法務委員会に所属し、野党の筆頭理事として政府与党に物を申す立場になりました。国の基本となる法律を所管し、「法の支配」を確立することを目指す法務委員会で、引き続き野党の代表を務めさせて頂くことは光栄であり、迷うことなく引き受けました。これ以上、時の政権の一存で法が粗末に扱われることのないよう、また国民の自由と社会正義が守られる日本となるよう、全力で職責を果たしてまいります。

さて、菅政権では行政手続きに必要なハンコをなくすことに取り組んでいますが、ハンコをなくしても公文書という形で記録を残す重要性は変わりません。国民主権の下、行政機関の様々な意思決定やそこに至った経緯を国民に説明する必要があるからです。

今回、3度目の法務大臣就任となった上川氏は、福田政権で初代の公文書管理担当大臣を務めていました。13日の法務委員会では、上川大臣に三つの公文書の作成を提言しました。

一つめは、法律の解釈を変更する場合の決裁文書です。今年初め、安倍政権は、検察官には適用がないとしてきた、国家公務員法の勤務延長に関する規定の解釈を突然変えました。しかし、その決裁は文書ではなく口頭で行われ、解釈変更を裏付ける文書には日付がありません。政権の不祥事をもみ消してきた黒川氏を定年後も検察トップとして重用するため、違法に勤務延長をしたのではないかという疑念が生じています。このような問題が起きないよう、法解釈を変更する際には日付の入った決裁文書を作成し、国民に知らしめるべきではないかと提言しました。上川大臣は「早急に対応してまいりたい」と前向きな答弁でした。

二つめは、その黒川氏に対し、法務省が訓告処分を行った経緯に関する文書です。黒川氏が緊急事態宣言中に新聞記者らと賭け麻雀を行ったことが発覚した際、安倍政権は短時間の調査で、懲戒処分ではなく訓告処分としました。退職金も本人都合による退職と同額が支払われています。しかし、この処分がどのような経緯で決まったのかについては、当時の森法務大臣の発言が二転、三転しました。この処分が妥当だと考えるなら、そこに至る経緯の文書を作成して真相を明らかにするべきです。上川大臣は「考える」との答弁でした。

最後に、黒川氏が訓告処分となった後、刑事手続きでも不起訴となった際に検察幹部が記者会見を行った際の記録文書です。検察官と新聞記者が容疑者となった事件で起訴猶予という寛大な処分が行われたせいか、この会見の内容はあまり詳しく報じられませんでした。上川大臣は「検察の問題なので答えを控える」旨の答弁でしたが、検察の信頼を回復するためには当然行うべきことです。もしそれが行われないのであれば、もう一方の当事者である報道機関の側で会見の全体を記録した文書を公表すべきです。検察と報道機関の姿勢も問われています。