19日、盛岡市在住の沼田真佑さんが芥川賞を受賞しました。「影裏」という作品で、東日本大震災をテーマにしたものだそうです。デビュー作での受賞で、沼田さんはまだ38歳。岩手県初の快挙に対してお祝いを申し上げますとともに、これからの益々の活躍を期待したいと思います。

さて、安倍政権は「アベノミクス」や「政治主導」など、これまで国民には「影」や「裏」の部分を見せず「光」や「表」の部分を盛んにアピールし、高い支持率を維持してきました。しかし、多くの国民がその危うさと怪しさに気付き始めたようです。一部の世論調査で内閣の支持率が2割台に落ち込んだことや、東京都議選に続き仙台市長選挙でも自民党系候補が敗れたのがその証拠です。

「アベノミクス」の「影」として、景気対策と称し借金頼みの公共事業や消費増税の先送りを続けた結果、国際的な公約である2020年度の基礎的財政収支の黒字化(借金の元利払いを除く政府の支出については、追加の借金をせずにまかなうこと)が達成困難となったことがあります。

加えて、日銀の「異次元の金融緩和」も、2年間で2%物価を上げてデフレから脱却すると宣言して始めたはずなのに4年以上経過しても物価は低迷。物価目標達成の時期は、先日ついに6度目の先送りとなり、出口がまったく見えません。

安倍首相は、株価上昇や雇用増加など「光」の部分を強調しますが、これらは、日銀のやみくもな金融緩和と低賃金労働者の増加がもたらしたものであり、素直に喜べるものではありません。

「政治主導」の「裏」としては、国家戦略特区があります。岩盤規制を壊すというのは「表」の顔に過ぎず、実際は、首相の「腹心の友」の私的権益を生むために悪用されたという疑惑が深まる一方です。そのことを示す首相側近の発言を記載した文書も発見されましたが、発言の主たちは、記録も記憶もないのに文書の内容は誤りだと非常識な答弁を続けています。

同じく首相の側近たる稲田防衛大臣に至っては、政治主導で防衛省をコントロールするどころか、自分の発言すらコントロールできないのに大臣の椅子にしがみついています。

「影裏」と言えば、「電光影裏に春風を斬る」という禅宗の高僧の名言もあります。すぐに消え去る稲妻が春風を切り裂いても、春風には何の影響も与えないという意味です。反対意見を切り裂くような安倍政権の乱暴な政治手法も長持ちはしないはずです。民進党は、目先のアピールにとらわれず国民の良識と常識に沿った政党であるべきです。