2日、今年初めての質疑を全閣僚出席の予算委員会で行いました。今国会の重要テーマである共謀罪を主に取り上げました。共謀罪とは、何人かで犯罪の合意をしたら、実行行為に及ぶ前から全員まとめて処罰できるというものです。

他の罪と異なり、共謀罪は、犯罪の結果もなく危険が小さい段階で罪に問うので、処罰の必要性は通常小さいです。また、仲間内で話し合った内容が罪に問われるため、憲法で保障されている自由な会話や会合ができにくくなり、社会が委縮します【下図参照】。

このため、現在の法律で共謀罪やこれと似た陰謀罪が設けられているのは、国家や社会の存続に関わる重大な犯罪に限られ、合計で20程度です。また、政府は過去に600以上の罪に一括して共謀罪を定める法案を提出しましたが、当時の民主党などが反対し、3回も廃案になっています。これらを踏まえ、首相に対し、「共謀罪、陰謀罪というものは、他に代替手段がない場合に、必要最小限度で設けるべきではないか」と見解を問うと、首相は、「内心の自由等々を侵してはならないのは当然」と、珍しく慎重な答弁。

そこで、「今回「テロ等準備罪」を設けるなら、対象となる罪の範囲はテロ犯罪に限るべきではないか」と金田法務大臣に尋ねると、「犯罪の主体を、組織的犯罪集団に限定しているので、一般の方々が処罰の対象となることはありえない」と的外れな答えが返ってきました。助け舟で出てきた岸田外務大臣も、「(テロ等準備罪の)対象の数は今の段階で何も申し上げられない。検討して法律を作った上で説明する」と逃げの答弁。

また、「組織的犯罪集団に限って処罰すると言っても、普通の会社も経営が悪化して詐欺まがいの行為をするようになれば組織的犯罪集団に当たるのではないか。一般市民は必ず入らないと言えるか」と尋ねると、岸田大臣は、「検討しているところなので、今の段階で的確に答えることは不可能」と逃げ、肝心な部分は「検討中」でごまかし続けました。

結局、分かったのは二つ。テロ等準備罪は名前こそ共謀罪と違いますが、実体がどうなるかは今も政府内で「共謀」中だということ。そして、テレビでご覧の方には明らかなとおり、法務大臣は常に後ろに控えた法務官僚と「共謀」して答弁するということ。昨年末のカジノ法案のように、会期末に突如法案が出され、数の力で強行採決されないよう、「共謀」段階にある現時点から、共謀罪の問題点を徹底的に追及し、改めさせていきます。