経済再生ケース_01日本を代表する企業である東芝が、業績悪化を隠蔽するため、利益を水増しする会計操作を繰り返し、歴代の社長3人が辞任する事態となりました。第三者委員会によると、リーマンショック後の2009年3月期決算から直近までの利益水増し金額は累計で1518億円。途方もない金額です。

その要因として、毎月の会議で社長が、「チャレンジ」と称して各部門トップに収益改善の目標値の達成を強く迫ったこと、そのため、各部門で目標を達成すべく不適切な会計を継続的に実施するに至ったこと、が挙げられています。投資家の信頼を裏切っただけでなく、岩手県にとっても重大な影響を与えかねません。東芝は、半導体メモリーの工場を新設するため、北上市に大規模な設備投資を検討していたからです。

こうした衝撃的なニュースに隠れて、22日、内閣府は、「中長期の経済財政に関する試算」を公表しました。最大のポイントは、日本が国際社会で約束した、2020年度に基礎的財政収支(国と地方の支出のうち元利金の返済以外の支出を、新たに借金をしないで賄えているかをみる指標)を黒字にするという目標を達成できるかどうかです。

半年前に発表された同じ試算では、アベノミクスが大成功することを前提にした「経済再生ケース」でも、黒字には9.4兆円も足りないという結果でした。しかし、今回の試算では、黒字に足らない金額が6.2兆円です。わずか半年の間に、なぜ3.2兆円も改善したのか?調べてみると、東芝と同じく怪しげな会計テクニックが駆使されていました。

その1:原油安、株高などで目先の税収入は前回より1.7兆円増えると予想。ただし、その反動で減る額は0.3兆円しか見込んでいない。

 その2:高齢化に関わる分を除いた来年度の支出は、物価上昇率と同じ伸び率で増えると前回予想していたが、今回は物価上昇率の半分しか伸びないと予想。これだけで1.2兆円支出が減るが、なぜ物価上昇率の半分なのか、その根拠は定かでない。

 その3:今後5年の復興予算のうち、財源が確保されておらず国が追加で拠出すべき金額を3兆円(毎年0.6兆円ずつ)と前回予想。復興予算の見直しで2.4兆円に減らしつつ、4年で拠出を終えることにして5年目の2020年度の支出を0.6兆円減らした。

以上で、(1.7-0.3)+1.2+0.6=3.2兆円の改善になりますが、アベノミクスが大成功するという前提条件も含め、目標達成のための危険な「チャレンジ」と言わざるを得ません。