2a4f249a74668aa9bed8af9461e72c43_tn608[fusion_builder_container hundred_percent=15日、衆議院の特別委員会で、安倍内閣が提出した安全保障関連法案の強行採決が行われました。政府与党は、審議時間が116時間になったことで審議が尽くされたとします。確かに過去の安保関連法案と比較すれば長いものの、審議の対象となる法案の数が違います。今回は、集団的自衛権を行使可能にする「武力攻撃事態法改正案」、「自衛隊法改正案」や、いつでもどこでも自衛隊が他国の軍隊を支援しやすくなる「国際平和支援法案」、「重要影響事態法案」など、合計11本の法案を一括審議しています。1本当たりでは約10時間に過ぎず、審議時間はむしろ短いぐらいです。

それ以上に問題なのは、審議の質です。集団的自衛権の行使について、政府は、集団的自衛権の行使を否定した昭和47年の政府見解の前段部分や、集団的自衛権とは無関係な砂川事件の最高裁判決を根拠にして憲法に違反しないと主張します。しかし、極めて無理のある考え方で、与党側の参考人を含めてほとんどの憲法学者や歴代の内閣法制局長官が憲法違反だと述べています。この点について、政府から納得できる答弁はありませんでした。

また、なぜ今集団的自衛権が必要なのかという問いに対して、政府は、「安全保障環境の変化」を挙げますが、喫緊の課題である尖閣諸島の防衛などは集団的自衛権とは無関係な問題であり、集団的自衛権がすぐに必要な理由は示されていません。

さらに、集団的自衛権をどのような場合に行使するのかという問いに対しては、「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」が生じる存立危機事態にあたる場合だと政府は答えます。しかし、明白な危険があるかどうかは政府が総合的に判断するとのことであり、国会の承認は事後でも許されるため、十分な歯止めになっていません。

審議を進めるにつれ、このような疑問は解消されるどころか、ますます深まるばかりです。世論調査でも、「法案を理解していない」方がおおよそ8割です。安倍首相自身も国民の理解が進んでいないことを国会で認めました。それでもなお強行採決をするのは、安倍首相が米国議会で、「夏までに成立させる」と約束したからだと言わざるを得ません。

米国との約束を重んじる反面、国会での審議や国民の意思をこれほどまでに軽視する政権は、これまでなかったと思います。日本の民主主義が壊されつつあります。このような現状こそ、「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」が生じている存立危機事態ではないでしょうか。参議院に審議は移りますが、新国立競技場と同じく民意の力で法案を白紙撤回に追い込みたいと思います。[/fusion_builder_column][/fusion_builder_row][/fusion_builder_container]