7日の民主党両院議員懇談会での小沢一郎代表のあいさつは、参加した者の心を揺さぶる誠意に満ちたものでした。冒頭で、国民をはじめとする関係各位へのお詫びを述べ、辞任を申し出た経緯を丁寧に語りました。

参議院選挙での大勝利の後、小沢代表は「二つの思い」が強くなったと言います。一つは、次期総選挙において前回の3倍もの小選挙区議席を確保して政権交代しなければならないという責任感に基づく現状への危惧。もうひとつは、衆参ねじれ国会のもとでマニフェストで約束した政策をなかなか実現できないことへの焦り、です。

福田首相から要請された連立政権に参加すれば、総選挙の勝利に必要な民主党の政権担当能力を国民に示しつつ政策を実現でき、「二つの思い」が同時に解決できるかもしれない。そう思って連立政権参加を党役員会に諮ったが、賛同が得られなかった。そのことのけじめをつけるため代表辞職願を提出したが、いまにして思えば不器用なやり方で反省しているとのことでした。

美辞麗句で取り繕うことなく、自分の率直な思いを誠実に語る小沢代表の姿を見ていて、以前頂いた色紙に「百術不如一誠」(百の術策も一つの誠意には及ばない)と書かれていたことを思い出しました。あいさつの節目で起こる大きな拍手に、党内での小沢代表の求心力はむしろ強まったような気がしました。

参考

再起の辞  衆議院議員 小沢 一郎