img_92306日、NHKの経営委員会は、籾井会長を再任せず、上田良一氏を会長に選任しました。籾井会長は、「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」という発言で報道の中立性を疑わせ、部下である理事全員から辞表を取りつけて「一般社会ではよくある」と述べて常識の欠如をあらわにし、私用ゴルフで使ったハイヤー代をNHKに支払わせて受信料の私物化をうかがわせました。

私も予算委員会や党内会議で籾井会長の責任を追及しましたが、籾井会長の法的な責任について答弁したのがNHKの監査委員である上田氏でした。籾井会長とは違って腰が低く真面目な方だという印象があります。上田新会長の下、NHKは、政府が右と言っても、国民のために真実を報道する姿勢を貫いて欲しいと思います。

さて、籾井会長の時代でも、政府にとって不都合な真実が報道されることがありました。NHKのニュースが今年の初め、津波で被災して高台移転等のため買取り希望がある約4万5千件の土地のうち、相続人全員と連絡が取れないなどの理由で今も未買取りとなっているものが約7600件(約17%)に上ると報じていました。

このことを踏まえ、8日の震災復興特別委員会の質疑で、復興庁に同様の数字を把握しているか尋ねたところ、「把握していない」との答弁でした。にもかかわらず、今村復興大臣は、これまでのやり方で買取りは成果を上げていると答弁。現状の数字を把握していないのに、「成果を上げている」と言えるはずがありません。さらに問題なのは、買取り対象となっているのに、権利者の誰一人とも連絡が取れず買取り希望が不明の土地について、事実上放置されていることです。民法では所有者がいない土地は「国庫に帰属する」となっていますが、復興庁は「そのような事例は聞いたことがない」とのことでした。

その結果、津波の跡地については、買取りによる「公有地」と、買い取られていない「私有地」と、買取り希望の有無すら不明なまま「放置」という三つのパターンに分かれ、あたかもモザイク模様のようになっています。これでは津波跡地を活用することは困難です。

被災地に限らず、人口減少や不在地主の増加等で、相続登記がなされず権利者不明のまま放置される不動産が増えています。これは治安や景観の悪化につながるだけでなく、固定資産税の減少で市町村の財政も悪化させます。「被災地の復興を日本の再生につなげるなら、復興庁が問題解決のための法制度を考えるべきではないか」と質したところ、今村大臣は「しっかり取り組んで勉強してみたい」と前向きな答弁でした。野党第一党の議員である私たちもまた、政府が右と言っても、真実を見極め、正しい道を提言していきます。