img_877219日、法務委員会において、新任の金田法務大臣の所信表明に対する質疑を行いました。最初に尋ねたのは、共謀罪を定める法案の提出予定についてです。共謀罪とは、犯罪を実際に実行せずとも相談しただけで成立する犯罪です。戦時中の治安維持法と同じく、国家による言論弾圧に悪用されかねません。

過去に政府は3回、共謀罪法案を国会に提出しましたが、①対象犯罪が600以上に及び、数が多過ぎること、②「共謀」に当たる場合がはっきりせず、国民が疑心暗鬼になること、③すべての「団体」が適用対象とされ、範囲が広過ぎること、などから当時の民主党などが反対し、いずれも廃案に追い込まれた経緯があります。

今臨時国会が始まる前、こうした問題点を多少修正した上で政府が共謀罪法案を提出し直すとの見通しが大々的に報じられていました。しかしながら、金田大臣はこの件につき所信表明で何ら触れていなかったため、「法案をいつ出すのか」と尋ねました。

金田大臣は、「法案については検討中で成案に至っていない」と答弁しつつ、「ならば今国会はもとより、次期通常国会でも提出はできないのではないか」と再度尋ねると、「法案をいつ国会に提出するかは未定だ」と答え、次期国会での提出を否定しませんでした。

選挙前は公約に掲げていなかった法案を選挙後に突然提出して強行採決で成立させるのは、安倍政権の常とう手段です。特定秘密保護法案、安保法案がそうでした。年末年始に衆議院解散という噂がありますが、仮に解散総選挙で与党が勝ってしまった場合、共謀罪法案が次期国会で提出されかねないことは、有権者として知っておくべきことだと思います。

次いで、大分県の別府警察署の捜査員が参院選の違反行為を取り締まるため、私有地に侵入して隠しカメラを設置した上、駐車場や建物に出入りする人たちを撮影し続けたという事件を取り上げました。最初に、本件につき建造物侵入罪という犯罪が成立し、捜査の限界を定めた刑事訴訟法197条にも違反するということを警察庁に確認。その上で、金田大臣に対し、このような不祥事の再発防止策を尋ねたところ、「捜査が適正になされるための努力を引き続きしていきたい」と述べるのみで、何ら具体策はありませんでした。

国民を違法に監視する捜査機関に対して共謀罪の適切な運用を求めることは、飢えた狼に羊の群れを守ってもらうのと同じぐらい困難なことです。共謀罪法案が提出され、成立して国民が取り締まられる前に、捜査機関による建造物侵入等の共謀を処罰することとすれば、今回のような事件の再発は防げるかもしれません。