imag0128衆議院では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)とその関連法案につき情報開示も影響試算も不十分なまま、政府与党が審議を打ち切り強行採決しました。その国会軽視の姿勢は、山本農水大臣の度重なる失言が象徴しています。米国の大統領候補が双方ともTPP反対を唱える中で、焦る理由はありません。徹底的に問題点を洗い出し、将来に不安を残すのではなく、希望が持てる議論を尽くすべきです。

31日、その国会審議の合間を縫って、フランスのストラスブールで行われたIEEE(米国電気電子学会)主催の国際会議で演説を行いました。ILC(国際リニアコライダー)を推進する超党派の議員連盟の幹事として、日本にILCを建設することへの欧州各国の理解と支援を求めるのが目的です。米国政府との間では、5月にILCを実現するための費用分担などを議論する場が設けられ協力が進みつつありますが、欧州との間では未だそのような場がないことが背景にあります。

ILCは、全長30~50kmにも及ぶ細長いトンネルの両端から電子と陽電子を超高速で発射して衝突させて宇宙の成り立ちや物質の起源を研究する、これまでになかった大規模な国際的研究施設です。その立地場所としては、地形・地質の面で岩手の北上山地がふさわしいとされています。

昨年4月、同じストラスブールで行われた日本とEUの議員会議に出席し、日本にILCを建設する意義を述べたことがあります。今回は、研究者や欧州各国の政府、議会関係者を含め、約2500名が集う国際会議であり、前回より大きな成果が期待できます。なんとか日程をやりくりし、一泊三日の強行軍で参加しました。

私は、岩手をはじめ東北地方では600を超える企業、自治体、大学などがILC建設に向けた準備を行っていること、ILCを早期に稼働して先端科学の分野で東北が世界に貢献し、東日本大震災の際の欧州など世界各国からの御恩に報いたいことなどを述べました。

その上で、岩手・盛岡の生んだ偉人である新渡戸稲造博士の「太平洋の橋になりたい」という言葉を引用させていただき、「ILC建設について、日米の間の『太平洋の橋』は形になりつつある。次は日本と欧州を結ぶ『ユーラシアの道』を切り開く番だ。日本と欧州をはじめ世界各国が協力し、ILCを創り上げることは『人類の希望の道』を創ることでもある」と述べ、関係者に支援を呼びかけました。

この演説が、岩手と日本だけでなく、人類の希望の道の第一歩となることを念願します。