15日、東京弁護士会 犯罪被害者支援委員会の中根洋一元委員長望月晶子副委員長から、

重大な少年事件において、被害者が審判を傍聴できる手続を制度として創設すべき

とする意見書を受け取りました。20歳未満の少年が罪を犯した(と疑われる)場合、原則として、刑事裁判ではなく家庭裁判所の少年審判という手続で処分が決まります。公開で行われる刑事裁判であれば、被害者やその遺族が傍聴して事実関係や被告人の言い分などを直接見聞できますが、少年審判については被害者等の傍聴を認める制度がありませんでした。

これを認めるための少年法改正案が今国会で審議される予定ですが、傍聴を認めることで審判を受ける少年が委縮し、言いたいことが言えなくなるのではないかといった意見があります。確かに被害者の傍聴を認めなければ、少年は発言しやすいでしょうが、処分を軽くするために事実と違うことを述べ、誤った事実認定がされたり、被害者を傷つけたりする危険があります。また、そもそも傍聴の対象となるのは、被害者が死んだり、命にかかわる大怪我を負ったりした場合に限られており、このような重大事件については、被害者の「知る権利」が尊重されてしかるべきです。

罪を犯した少年が、被害者の怒りや悲しみを肌で感じつつ、真摯な気持ちで審判に臨むことは、「少年の健全な育成」という少年法の理念にも反しません。1年前まで被害者支援の活動を共にしてきたお二人との再会を喜びつつ、被害者の権利確立に向け気持ちを新たにしました。