来年の中止が突然決まった「桜を見る会」では、招待者にお酒や料理が振舞われます。原資は私たちの税金です。今年は安倍首相の地元後援会から約850名が招待され、予算金額を大幅に上回る支出となっていました。政治家が選挙区の有権者に寄付をすることは公職選挙法で禁止されています。これに違反した疑いで、二人の大臣が辞任したばかりです。

12日、安倍首相が有権者を招待する行為は公職選挙法違反に当たるのではないかとの国会質問に対し、高市総務大臣は、「国は寄附禁止の主体には含まれない」と答弁。しかし、国の予算を執行する最高責任者は安倍首相です。また、開催するか中止するかは首相の判断で行っています。その首相が招待している以上、自分のお金で寄付するのと実質的に同じです。むしろ、国民の税金を自分のために使っている点で、公職選挙法違反よりも悪質です。

そもそも国民が負担する税金は、「権力者のために役立つ活動」ではなく、警察・消防、公共事業など「みんなのために役立つ活動」や、教育、社会保障など「社会での助け合いのための活動」に使われるべきものです。公益に無関係な支出は論外です。また、公益にかなう支出であっても、最小の税金で最大の効果を上げるよう務めるべきです。

この点、公的年金制度に税金を使うことは、「社会での助け合い」のためであり、公益にかないます。ただし、現在の国民年金は満額でも一人月額6万5千円であり、しかも将来的には3割近く目減りします。加えて、国民年金加入者の約半分は保険料を免除、未納となっていて年金額はさらに少なくなります。今後、厚生年金に加入していない一人暮らしの高齢者が増え、年金だけでは暮らせず生活保護を受ける方が急増すると予想されます。

公的年金を真に「社会での助け合い」の制度にするために、私と井出庸生衆議院議員、井坂信彦前衆議院議員の3人で、75歳以上のすべての国民に対し、税金で月額8万円を支給する「ベーシックインカム年金」(BI年金)の提言をまとめました。12日には、ご指導頂いた3人の有識者と26人の超党派の国会議員に集まって頂き、勉強会を開催しました。BI年金を実行する場合、最大14兆円程度の税金が新たに必要となります。私たちは、死後に葬儀費用などを差し引いて財産に余りがあれば、その範囲で生前に受け取ったBI年金を返還してもらう「財源循環(リサイクル)制度」を考えています。

私たちの試算では、この仕組みがあれば、増税しなくても必要な財源をほぼ確保できる見込みです。そして、税金を使ってBI年金を支給する以上、死後に可能な範囲で返還してもらうことは、世代を超えて税金による「社会での助け合い」を実現することにつながります。「税金の私物化」を改め、「年金の公益化」を実現するべきです。