韓国が23日の午前0時をもって終了する旨を通告していた「日韓秘密軍事情報保護協定」(GSOMIA)について、終了直前の22日夕方、韓国政府は、通告を停止すると発表。GSOMIAは当面継続することになりました。

GSOMIAとは、日韓両政府がお互いに秘密軍事情報をやり取りする場合のルールを定めた条約です。秘密軍事情報の提供を受けた政府は、①その情報を第三者に提供しないこと、②提供した側の政府と同等の秘密保護のための措置をとること、③その情報を提供された目的以外に使用しないこと、などが定められています。

GSOMIAが終了した場合、北朝鮮の核ミサイル開発に関する情報など重要な軍事情報のやり取りが困難となり、日韓双方の安全保障にとって大きなマイナスでした。今回、幸いにして継続することになりましたが、問題の根本解決には至っていません。

韓国は、日本が7月以降、韓国向けの半導体の原材料輸出の規制を強め、経済に悪影響が出ていることに反発しています。日本は、韓国の最高裁判所が昨年暮れ、日本企業2社に「徴用工」への損害賠償を認めたことが、1965年の日韓請求権協定に反するとして不信感を抱いています。これらの問題が解決しないことには、両国の間に信頼関係は生まれず、GSOMIAが継続しても「絵に描いた餅」になりかねません。

まずは事の発端となった「徴用工」問題について、両国政府で日本企業に法的な責任がないことを確認しつつ、過酷な労働環境にあった韓国人労働者への人道的な措置をとるよう、日本企業に促すべきです。過去に日本の最高裁が同様の考え方で和解に導いた例もあります。安全保障のみならず経済安定の見地からも、日韓関係の改善に全力で取り組むべきです。

もう一つ、問題の根本解決に取り組む必要があるのは、「桜を見る会」の私物化です。これに絡んで、高級ホテルでの前夜祭の会費が5000円で経費の明細書もないとか、政府主催の会なのに「私人」のはずの昭恵夫人が招待者選定に絡んでいたとか、招待者名簿が議員から提出を求められた日に廃棄され、その理由が「その日までシュレッダーが空いてなかったから」とか、うそか冗談としか思えないような話が次々と出てきています。

しかし、この問題の本質は、森友・加計問題と同様、私たちの税金が首相の友人・知人のためにこっそり使われていたということです。敵味方の区別をはっきり付けて内政外交に緊張をもたらす一方、公私の区別はいい加減で民主主義を腐敗させる政権がずっと続いてきました。これ以上長続きさせていいのか、それが問われています。