安倍政権の悲願ともいうべき憲法改正。しかし、それを行うかどうかは国民投票によって決まります。憲法改正案を国会が発議してから投票日までの国民投票運動の期間(60日~180日)、賛成派も反対派も国民の多数の支持を得ようと様々な方法を駆使して活動することになります。

その中でも、多くの人が同時かつ自然に情報を得られるテレビやラジオのCMは、活字広告よりも感情に訴えやすく影響力が強いと言われます。そのため、国民投票運動のルールを定める国民投票法ができた11年前から、憲法改正に関するCMをどのように規制するかが問題となってきました。

現状では、投票日2週間前から憲法改正案への賛否を働きかけるCMを放送できませんが、①投票日直前になっても憲法改正への意見表明のCMを行ったり、②資金力のある団体がCM放送枠を買い占めたりすることはできます。これにより例えば、有名芸能人やスポーツ選手が「私は憲法改正に賛成です」と語るCMが投票日直前に大量に流され、国民が憲法改正案の内容を吟味せずに賛成票を投じてしまうおそれもあります。

私は、国民民主党の憲法調査会の会長として、同僚の国会議員や有識者の方々と議論し、他国の事例も参考にしながら、この問題の解決策をまとめてきました。①政党については憲法改正に関するCMをいっさい禁止し、別途設けられる国民投票広報協議会が行う放送の枠の中で意見表明などを行うこと、②憲法改正に関するCMを行う民間団体には、事前に届出義務、事後に収支報告義務を課すとともに、支出金額が上限を上回った場合は罰則を与えること、などを盛り込んでいます。

ただし、このようなCM規制を法律で定めるにあたっては、規制を受ける立場である民間放送局の意見も聴く必要があります。11日は国民民主党の憲法調査会、12日は衆議院の憲法審査会の幹事懇談会において、日本民間放送連盟(民放連)から意見を伺いました。11年前、民放連は、法規制を設けることにつき「放送事業者の自主・自立による取り組みに委ねるべき」と主張していました。当然、民放連として何らかの自主規制の案を示すだろうと思っていましたが、この期に及んでなお「自主規制の要否を含め検討したい」とのこと。

「これまで何を検討してきたのか」と尋ねても、安倍首相の答弁と同じく無関係なことを延々と述べるだけでした。憲法改正の国民投票が公平・公正に行われることより、自分たちの広告料収入をいかにして守るかの方が大事なようです。国民が憲法改正案について公平かつ公正な情報が得られるよう、法規制の実現に向け、他党に協力を求めていきます。