27、28日と衆議院では予算委員会が開催され、希望の党からは、長島政調会長を先頭に井出、津村、今井、後藤の各代議士が質疑に立ちました。最も時間が割かれたのは、森友学園への土地処分価格が8億円も値引きされていた問題です。

22日に公表された会計検査院の報告書では、値引きの根拠となった地中のゴミの撤去・処分に必要な費用につき「十分な根拠が確認できない」とされ、ゴミの量が3倍以上多く算定された可能性があると指摘されました。先の通常国会でも、会計検査院と同様の指摘を野党議員が行いました。当時は、安倍首相も官僚もその指摘に聞く耳を持たず、「処分価格は適正だ」と主張していました。

会計検査院の報告を受け、政府はようやく価格決定に問題があったことや価格交渉の模様を録音したテープが本物であることを認めたものの、これまで野党の指摘を言いがかりのように扱い、まともな答弁をしなかったことに対し、安倍首相から謝罪の言葉はありませんでした。そして、異常な値引きの理由についても納得できる説明はありませんでした。動かぬ証拠があっても疑惑の解明が進まないのは、本来あるべき三つのものがないからです。

一つ目は、十分な質疑時間です。今回の予算委員会では、自民党が野党時代に要求して実現した与党20%、野党80%という質疑時間の配分につき、自ら覆して与党36%、野党64%としました。与党の質疑時間で身内への疑惑追及が行われるわけがありません。貴重な野党の質疑時間も、安倍首相をはじめ無意味な答弁が多く、話が先に進みません。

二つ目は、疑惑の当事者です。森友問題で言えば、籠池夫妻と親交があった安倍首相の昭恵夫人自身が疑惑に答える必要があります。膨大な数に上る国有地の売却取引の中で、本件だけ異常な値引きが行われたことに昭恵夫人は関わっていないのかどうか、多数の官僚が仕え陳情の処理もしていた「公人」である以上、丁寧に説明する責任があります。

三つ目は、憲法の常識です。安倍首相は行政機関である会計検査院の指摘は「真摯に受け止め」つつ、国会からの同様の指摘は無視します。国会は国民の代表が集まる「国権の最高機関」(憲法41条)であり、内閣は行政権の行使について「国会に対し連帯して責任」(憲法66条3項)を負っています。この憲法の常識が安倍政権には欠けています。

同僚議員は、北朝鮮問題、農業問題、金融政策など我が国の重要課題も取り上げました。こうしたテーマにもっと時間を割けるよう、政府与党は言葉だけでなく、「真摯に」、「謙虚に」、「丁寧に」疑惑に答えるべきです。