16日、都内のホテルで小沢前代表の後任を決めるための民主党代表選挙が行われました。

会場には投票権を持つ民主党の国会議員が衆議院と参議院に分かれて座ります。席に着くと、私の左前方7、8メートルぐらいのところに岡田克也候補、真後ろ4、5メートルぐらいのところに鳩山由紀夫候補がいらっしゃいました。名前のアイウエオ順で席が指定されるため、各陣営が固まることはなく、思いのほか静かな雰囲気でした。

しかし、投票前の政権スピーチ、ディベートの内容でどちらに投票するか決めようという議員も多く、両候補の一挙一動に会場の視線が注がれ、次第に熱気と緊張感が高まっていきました。

まず、10分ずつの政権スピーチでは、岡田候補が「新しいリーダーのもとで新しい民主党を創る」、鳩山候補が「絆のある包容力のある社会を再生する」と、お互いの個性を十分に発揮した名演説を行いました。

その後のディベートでは、司会の福岡政行教授からの意地悪な質問もありましたが、お二人とも次の首相を狙うにふさわしく、自分の言葉で冷静に答えていました。

まさに甲乙つけがたい立派な候補者でしたが、野球に例えれば、岡田候補は直球一本やりの剛速球投手、鳩山候補は変化球を交えながら勝負所では速球を投げ込む緩急自在の投手という印象でした。

私は、緊迫した論戦中にも拘わらず、鳩山候補が中曽根元総理のコメントを引用し、

民主党は昔はソフトクリームだったが、最近は『しん』がしっかりしてアイスキャンディになった

と冗談めかして語り、両陣営の緊張感を和らげる包容力を示したところに勝敗のポイントがあったように思います。

今回の代表選挙は124票対95票(無効1票)で鳩山候補に軍配が上がりましたが、岡田候補も幹事長として執行部に加わることになりました。

この両エースに加え、不動の4番バッターとも言うべき小沢前代表も代表代行として引き続き選挙を担当されることが決まり、この2か月の試練を乗り越え、民主党は挙党一致体制を整えることができました。

後は、総選挙という本当の戦いにおいて、全員野球で勝利するのみです。