DSCN03264月28日から4月30日まで、日本・EU議員会議に出席するため、欧州議会の本会議場があるフランスのストラスブール市に行ってきました。同市はフランスの北東部、ドイツとの国境付近にある街で、人口は30万人程度と盛岡市と同じぐらいの規模です。ここに毎月末になると、EUに加盟する28か国のそれぞれから選ばれた751名の議員が集まってきて欧州が抱える様々な問題について議論をし、決定を下します。

欧州議会には予算や法務など部門ごとの委員会のほかに、主要国(地域)ごとに対外交流議員団というものが置かれています。その中の対日交流議員団には現在24名の議員が所属し、日本の国会議員との間でほぼ毎年、会議を行っています。35回目となる今年の会議には日本から9名の国会議員が参加することとなり、私もその一員として現地に派遣されました。

会議は2日間にわたり、のべ6時間行われました。合間には、EUの議員だけでなくEUの首相にあたる欧州委員会のユンカー委員長、貿易担当の大臣にあたるマルムストローム氏とお会いすることができました。私からは、①日本とEUの経済連携協定(EPA)を年内に大筋合意したいというEU側の意向に対し、財政難のギリシャが国債の償還を滞って金融市場に混乱を与えないようにすることが重要ではないかということ、②自民党と民主党との違いは何かというEU議員からの質問に対し、財政赤字の要因である社会保障の負担額と給付額のアンバランスを解消するため、自民党は主に給付を下げようとし、民主党は主に富裕層を中心に負担を上げようとしているのが違いの一つであるということ、などを述べました。

加えて、③北上山地が建設候補地となっている大型先端研究施設の国際リニアコライダー(ILC)について、宇宙創成の謎を解明するというILCの研究目的だけでなく、ILCを建設する過程での最先端技術の集結、世界の頭脳が協働する国際研究都市の誕生、という三つの点で科学技術の革新に貢献する重要な意義があると説明し、EUの議会、政府の関係者にも理解と協力を求めたいとスピーチしました。

EU側からはウクライナ問題やテロ対策、エネルギー政策など多種多様な意見が出ましたが、一つのテーマでEUの議員同士で意見が対立することもしばしばありました。議員間で何を言うかある程度調整して会議に臨む日本側とは好対照です。また、女性が選ばれやすい選挙制度などもあって女性議員の比率が多いこと、加盟国内の24言語の通訳に加え手話通訳も置かれていることなど、議員構成も多様となるよう配慮されていました。初めての国際会議でしたが、多様性を重んじる欧州議会から学ぶべき点は多いと感じました。