25日と28日、法務委員会が開かれ、少年法改正の審議と採決が行われました。少年法では、未成年が罪を犯した場合、家庭裁判所が、保護更生のための審判を下すのが原則ですが、重大事件では検察に逆送して成年と同じ刑事裁判に付すこともあります。ただし、その場合でも、未成年の立ち直りに配慮して成年よりも軽い刑に留められるようにしています。

例えば、未成年に長期3年以上の有期の懲役を科す場合、成年のように懲役●年という定期刑ではなく、懲役●年以上●年以下という不定期刑を言い渡すことになっています。内閣が提出した今回の改正案では、成年の定期刑の最長が30年であるのに対し、不定期刑の最長が5年以上10年以下なのはバランスを欠くとして、10年以上15年以下に引き上げることが含まれています。

しかし、定期刑と不定期刑では刑の仕組みが違う以上、単純に長さを比較することはできません。バランスにこだわるのであれば、そもそも未成年だけに不定期刑を科すことが妥当なのかという点から考えるべきです。実際、改正案提出前に行われた意見交換会では、犯罪被害者の遺族や被害者を支援する弁護士の方から、「不定期刑は廃止して欲しい」との意見が出されています。

不定期刑の引き上げを主張する側は、被害者の声を聴くべきだと言いますが、不定期刑を維持したまま刑を多少引き上げるといったお茶を濁すやり方が、被害者の声を真に受け止めたものとは思えません。

また、上記の意見交換会では、家庭裁判所で行われる少年事件の審判手続について、「傍聴できる事件の範囲を広げて欲しい」、「モニター画面を通じて傍聴できるようにして欲しい」との被害者側の要望もありました。平成20年の少年法改正で被害者側の傍聴が認められた際、3年間の運用状況を見て必要に応じ改正することとなっていたにもかかわらず、今回の改正案ではこうした要望にも応えていません。

これらの問題点を谷垣大臣への質疑で指摘すると共に、不定期刑の引き上げ部分を削除する修正案と、「不定期刑の存否」、「傍聴対象事件の拡大」、「モニター傍聴の導入」につき政府に検討を求める附帯決議を提出しました(前者は否決、後者は可決)。犯罪被害者の声は、少年法の伝統に固執する専門家集団にかき消されやすく、政治家は、被害者の声を単に「聴く」のではなく、「受け止める」姿勢が必要です。